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向井理と比嘉愛未が殺人事件を追う若手記者コンビを熱演!寺尾聰、寺島進ら名優の演技にも注目の「松本清張スペシャル 死の発送」

2025/07/28

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「ゼロの焦点」「砂の器」など、さまざまな傑作を生み出した日本を代表する作家・松本清張。人間の欲望にフォーカスを当てたリアリティー溢れるストーリーと緻密な人物描写で、昭和の日本に社会派推理小説ブームを巻き起こした。その著作は数多くメディア化され、昭和時代には「砂の器」、平成と令和には「黒革の手帖」などがTVドラマ化され話題に。2010年代になると、生誕100年や没後20年を記念したスペシャルドラマが数多く制作され、幅広い層が"松本清張ワールド"の虜となった。

2014年に初映像化されたフジテレビ開局55周年特別番組「松本清張スペシャル 死の発送」は、とある出版社で働く若手記者コンビを向井理と比嘉愛未というフレッシュな2人が演じたことで話題を呼んだスペシャルドラマだ。

三流週刊誌「週刊ドドンゴ」を発行する出版社で働く記者・底井武八(向井)と津村亜紀(比嘉)。ある日、編集長の山崎治郎(寺尾聰)に呼び出された2人は、刑期を終えて出所したばかりの元官僚・岡瀬正平(矢柴俊博)を監視するように命じられる。岡瀬は7年前に10億円の横領罪で逮捕されたが、当時の捜査では7億円の使い道しか判明しなかった。そこで山崎は、岡瀬が出所後に使途不明金の3億円を隠し場所へ回収しに行くと予想したのだった。監視を命じられた底井と津村だったが、岡瀬が競走馬トレーニングセンターを訪れた後、神楽坂の料亭街へ向かったところで姿を見失ってしまう。その後、彼らのもとに、岡瀬が千葉県勝浦の墓地で絞殺死体となって発見されたというニュースが飛び込んでくる...。

■仕事に熱を注ぐ週刊誌記者を演じた向井理と比嘉愛未、寺尾聰

向井理と比嘉愛未が週刊誌の若手記者を演じた
向井理と比嘉愛未が週刊誌の若手記者を演じた

(C)ケイファクトリー

本作で向井が演じる底井は、新聞社から「週刊ドドンゴ」に飛ばされてきた元ジャーナリスト。自分の感情をあまり表に出さないタイプだが、報道にかける思いは誰よりも熱い人物だ。岡瀬が何者かに殺されたことを機に山崎と2人で事件を追うようになってからは、言葉数も多くなり、仕事に打ちこんでいるのが誰の目からも明らかになっていく。そんな状況下で山崎から突然「岡瀬の事件は忘れろ」と言われた際には、手にしている原稿に怒りをぶつけるといった激しさも見せる。そんな底井の変化を、向井が肩の力が抜けた自然体の演技でリアリティーをもって表現した。

一方で比嘉が演じる津村は、早く「週刊ドドンゴ」から離れて文芸誌に異動したいという思いを隠すことなく周囲にアピールしたり、編集長・山崎への愚痴を底井に言ったりと、喜怒哀楽が激しいタイプ。そんな津村を比嘉は、新人故の怖いもの知らずな一面を表すような声の強さや、時々膨れっ面をするなどの豊かな表情で、生き生きと演じてみせた。

そして、編集長の山崎を演じる寺尾は、ゆっくりとした説得力のあるセリフ回しで、彼が敏腕記者であることを表現。一方で、底井と津村に岡瀬の監視を命じるシーンでは、「警察も検察も暴けなかった3億円の行方、うちみたいな三流週刊誌がすっぱ抜いてみろよ、痛快でスカッとするだろうが!」と少年のように瞳を輝かせるなど、どんな立場にいてもジャーナリストとしての魂を持ち続ける職業人を魅力的に体現している。

■寺島進に大杉漣、名優たちの演技も見どころ

「週刊ドドンゴ」メンバーは、岡瀬の事件を追う中で「西田厩舎」の厩舎主・西田隆三(寺島進)と、馬主で代議士の立山寅平(大杉漣)に出会う。西田を演じる寺島進は、ハンチング帽に襟を立てたポロシャツ姿で登場。不穏なBGMも手伝い、眉間に深いしわを寄せた寺島のあまりの悪人面に、背筋が冷たくなる視聴者もいるはず。

物語は、山崎にある悲劇が襲いかかったことでさらなる展開に。山崎の思いを継いで岡瀬の事件を追う底井、そして底井の決意を知って心を動かされた津村が、本格的に事件の真相に迫っていく。クライマックスで向井が披露するエモーショナルな演技は最大の見どころだ。

鉄道や物流を巧みに使ったトリックなど、さまざまな伏線も散りばめられた本作。多彩な俳優陣の演技にも注目しながら、今なお色あせることのない松本清張サスペンスを堪能してほしい。

文=中村実香

放送情報【スカパー!】

松本清張スペシャル 死の発送
放送日時:2025年8月18日(月)21:00~
チャンネル:映画・チャンネルNECO
※放送スケジュールは変更になる場合がございます

詳しくは
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