中井貴一の若かりし頃の演技が光る!十朱幸代主演、1983年の日曜劇場「花揺れ」

映画やドラマ、舞台とさまざまなジャンルで活躍している俳優・中井貴一。人情味溢れる温かな役がハマったかと思えば、ドタバタなコメディで笑いを誘ったりと、演じてきた役柄の幅広さは周知の通り。そんな中井の若かりし頃の演技を見られるのが、1983年の日曜劇場「花揺れ」だ。

母を1人実家に残して宝石商・室戸悟郎(中山仁)のもとへ嫁いだ室戸とし子(十朱幸代)は、子宝に恵まれず、多忙な夫とも会話のないような平凡な日々を過ごしていた。そんな折、母が亡くなった報せを受けたとし子は、納骨のために伊豆の高原にある実家に帰ることに。そこでとし子は、実家の隣に暮らす農家の息子・達夫(中井)と言葉を交わす。達夫は山の草花を守ることに情熱を傾ける青年で、実のところ、とし子に秘めた想いを抱いていたのだった。そんな達夫と話すうち、とし子は生前に母が大切にしていた椿の木を自分が育てていこうと考える...。
■青年のひたむきな情熱、秘めた想いを真摯に演じた中井貴一

石井ふく子がプロデュースした本作の主演は十朱幸代。東京に嫁いでいった宝石商の妻が、亡き母が遺した伊豆の土地と自分の思い出に決別するまでの、微妙な女心を描いている。
中井は、とし子の実家の隣家で暮らす青年・達夫を好演。伊豆の土地で、滅びゆく自然をなんとか守ろうと情熱を注ぐ達夫の存在は、都会でなんとなく毎日を過ごしているとし子の心に変化をもたらす存在だ。そんな達夫の誠実なひたむきさを、若かりし頃の中井が真摯に演じている。
一方で、実はとし子に想いを寄せている達夫。実家に帰ってきたとし子との関わりの中で、青年・達夫が内に秘めている甘酸っぱくもどかしい想いを、ふとした表情で繊細に表現している。会話の中で揺れ動いているであろう達夫の心情が、中井の演技から随所で伝わってくるようだ。
1981年公開の松林監督の映画「連合艦隊」への出演でデビューし、俳優としてのキャリアをスタートさせた中井。1983年放送の本作は、中井のキャリア初期の演技が見ることのできる作品だ。その後、「記憶にございません!」などの三谷幸喜作品や、小泉今日子とW主演の「最後から二番目の恋」シリーズなど、代表作と言うと枚挙にいとまがない中井。長年の武器となってきた確かな演技力は、若かりし頃からきらりと光っていたことを、本作でぜひ感じてほしい。
文=HOMINIS編集部
放送情報【スカパー!】
日曜劇場「花揺れ」
放送日時:2025年10月4日(土)7:00~
チャンネル:TBSチャンネル2 名作ドラマ・スポーツ・アニメ
※放送スケジュールは変更になる場合がございます
出演:十朱幸代 中井貴一 小林かおり 宝生あやこ 中山仁 ほか
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