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主演・綾瀬はるか×池松壮亮、「あなたのそばで明日が笑う」は"心に寄り添う"物語――震災の喪失感から未来へ踏み出す姿を描いた名作

2026/02/23

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2021年に、綾瀬はるか主演、池松壮亮の共演で制作された「東日本大震災10年 特集ドラマ あなたのそばで明日が笑う」。舞台は宮城県石巻市で、綾瀬は震災で行方不明になった夫・真城高臣(高良健吾)を待ち続ける主人公の蒼を演じた。仕事を通じて蒼と出会う建築士の葉山瑛希を池松が演じている。

震災で夫が行方不明となり、現在は中学生になった一人息子・六太と暮らしている蒼。義妹・遥(土村芳)や義母・浅子(阿川佐和子)とも交流を持ち、立ち直ったように明るく日常を過ごしているが、実のところは深い喪失感から心を閉ざしてしまっている。内心ではもがいている蒼だったが、ある日見た夢をきっかけに、かつて高臣と営んでいた書店「BOOKS草原」を再建することを決意。遥を通じて、全国各地を飛び回っているという建築士・瑛希を紹介されることになる。

綾瀬はるかが、震災で行方不明になった夫とかつて営んでいた書店の再建を目指す妻を演じる
綾瀬はるかが、震災で行方不明になった夫とかつて営んでいた書店の再建を目指す妻を演じる

(C) NHK

新たな一歩を踏み出そうとはするものの、そのことによって封印していた思い出に触れることになる蒼。その心情を、綾瀬が抑えた演技で切なく表現した。人付き合いが苦手ながらも、蒼の気持ちに触れたことによって、書店を復活させるために懸命になる瑛希を丁寧に演じた池松。当初はすれ違っていた2人が徐々に心を通わせていく過程を、綾瀬と池松は絶妙な間合いと"静の芝居"によって、心の機微まで映しながら描き出している。

■"思い出の砂浜"で心情を吐露する綾瀬と、聞き入る池松の演技が沁みる

(C) NHK

書店再建の相談に乗ってもらうための打ち合わせに蒼は少し遅刻してしまい、初対面から瑛希をイライラさせる。待ち合わせたカフェで瑛希は「遅れたことを謝ってほしい」と伝え、おっとりした蒼を待っていられないとばかりに間を置かずに話し出す。その後、遥と3人で物件の下見に行った時も、蒼の提案に「やめた方がいい」と無表情で水を差す。一方、よそから来た建築士の言動により、作り笑顔でなんとか平穏を保っていた蒼の心が揺れていくさまを、綾瀬は表情や声のトーンで表現する。瑛希に「石巻を知っているように話さないでほしい」と苛立ちを伝え、そのことによって瑛希は1人でカメラを持って津波の到達位置を記した壁や更地になった土地の写真を撮るようになる。

(C) NHK

夫と過ごした砂浜で蒼が大切に心の中にしまっていた思い出を瑛希に話し、「私、今でも高臣を待っているんです」と心情を吐露する場面は、2人の芝居が多くのことを物語る。無言で蒼の言葉に耳を傾け、目を伏せてうなずく瑛希と、これまで誰にも話していなかった気持ちを伝えたことで清々しい表情を見せる蒼。綾瀬と池松の演技によって、2人の心情がじんわりと伝わってくる。

■心にそっと寄り添う物語の温度感に、綾瀬と池松がハマる

(C) NHK

会えなくなってしまった高臣も含めて、全ての登場人物を"置いていかない"本作。鍵になっているのは、"寄り添うこと"だ。父のことを話してくれない蒼の気持ちをなんとなく察することができる年齢になった六太は、母に寄り添う。蒼の癒えない悲しみを受け取った瑛希は、いつしか蒼たちの書店を再生させるために力を尽くすように。「焦らなくてもいい」と言ってくれているような物語は、視聴者の心にも寄り添っていく。

綾瀬と池松が、内面の優しさと愛がじわじわと伝わる芝居で見せた本作。制作者と俳優陣が届けたいメッセージがひとつに溶け合った名ドラマと言えるだろう。

文=山本弘子

放送情報【スカパー!】

東日本大震災10年 特集ドラマ あなたのそばで明日が笑う
放送日時:2026年3月11日(水)22:05~
チャンネル:映画・チャンネルNECO(スカパー!)
※放送スケジュールは変更になる場合がございます

出演:綾瀬はるか 池松壮亮 土村芳 二宮慶多 阿川佐和子 高良健吾

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