鶴見辰吾×伊藤麻衣子が高校生の夫婦に!衝撃的な設定でも、葛藤をリアルに表現した「高校聖夫婦」
1980年代に一世を風靡した「大映ドラマ」は、刺激的なストーリーで濃密な人間ドラマを描き出し、「スクール☆ウォーズ」や「スチュワーデス物語」、「不良少女とよばれて」など、数々の話題作を世に送り出した。
そんな大映ドラマ黄金期の代表作のひとつが、1983年放送の「高校聖夫婦」である。高校生同士の"夫婦"というエキセントリックな設定を核として、新しい愛のモラルを模索した挑戦的な作品だ。主人公のカップルを演じたのは、鶴見辰吾と伊藤麻衣子(現・いとうまい子)。高校生でありながら、諸事情で結婚することになった2人が、夫婦という姿を通して本当の愛を見つけていく物語だ。
■2人の高校生の「偽装恋愛」が結婚に至ってしまう波乱の物語
桜台高校3年生の安西俊(鶴見)は、親代わりの姉・泰子(五十嵐めぐみ)と共にアメリカに渡ることになる。泰子の結婚相手・チャールズ(テリー・オブライエン)と3人で同居するためだった。
しかし甲子園を目指す高校球児であり、何としても渡米したくない俊は、偶然出会った同じ桜台高校3年生の上条典子(伊藤)と"偽装恋愛"を計画する。恋人の存在を理由に、姉にアメリカに行かないことを納得させようという作戦だった。
一方の典子にも父親が若い女性と再婚したために、家を出たいという家庭の問題があり、俊の計画に乗ったのだ。しかし、2人が急に「愛し合っている」と言い出したので、お互いの家族は「高校生のくせに」と猛反対。典子の父・隼雄(名古屋章)は2人の関係をあきらめさせようと「そんなに好きならちゃんと結婚しろ!」と怒りをぶつける。これが裏目に出て、俊と典子は本当に結婚することになってしまう。2人の関係がお互いの利益のための"カモフラージュ"だと知らない周囲は大いに動揺するが...。
そんな波乱の物語だが、クラスメートや大人たちなど周囲の騒ぎぶりを見て、かえってお互いの存在を意識するようになり、次第に本当の愛が芽生えていくという設定の妙がユニークだ。当初は「ママゴト」のようだった2人の拙い結婚生活が、次第に真の愛情に変わっていく過程が見どころだ。
鶴見は子役として活躍し、1979年の「3年B組金八先生」第一シリーズでも、中学生ながら恋人の妊娠と出産に直面する難役を演じていた。1980年には映画「翔んだカップル」にも主演し、当時人気絶頂だった薬師丸ひろ子と共演するなど、若手俳優として飛躍していた時期。一方の伊藤は、「ミスマガジン」初代グランプリを経てアイドルデビューを果たしたばかり。本作がドラマ初主演だった。
若手ながら、既にある程度の実績を誇っていた鶴見は、本作においても不器用な少年性と責任を背負う葛藤をリアルに表現し、演技面での成長を見せつけた。「大人になりきれない青年像」をリアルに演じ、説得力のある演技を披露している。
伊藤は、アイドルらしい華のある存在感を発揮。初々しさとストレートに感情をぶつける純粋さを評価された。
■高校生が結婚して夫婦になるという設定でも若い世代から共感を得た

高校生が結婚して夫婦になるという大胆な設定は、放送当時に「現実離れしている」という批判もあったが、強烈な話題性を獲得。家庭の問題や若者の自立願望を軸にしているため、若い世代が作品に共感したのも確かだろう。
現実ではありえない設定でも、主人公の純愛を強烈に描く路線を確立した。「高校聖夫婦」は、どれだけ設定が突飛であっても、感情にリアリティがあればドラマとして成立するという成功例になったと言えるだろう。大映ドラマ黄金期の力強い息吹は、今見ても鮮烈である。そんな「高校聖夫婦」がTBSチャンネル2で放送されるが、若き鶴見と伊藤の演技を中心に、当時のドラマのパワーを令和の若者たちにも感じ取っていただきたい。
文=渡辺敏樹
放送情報【スカパー!】
高校聖夫婦
放送日時:2026年4月16日(木)4:00~
放送チャンネル:TBSチャンネル2 名作ドラマ・スポーツ・アニメ(スカパー!)
※放送スケジュールは変更になる場合があります。
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