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自分も相手も輝かせる大泉洋の演技――映画「かくかくしかじか」で見せた極上のエンターテインメント

2026/07/14

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大泉洋が心に響く演技でスパルタ絵画教師を体現する
大泉洋が心に響く演技でスパルタ絵画教師を体現する

大泉洋はつくづく不思議な男である。なぜあんなにも人を魅了するのか。なぜあんなにも見入ってしまうのか。なぜあんなにも彼の演じる役が、愛おしく、輝いて見えるのか。

東村アキコの自伝コミックを実写化した映画「かくかくしかじか」で、大泉が演じた日高健三もそうだ。竹刀を片手に生徒を追い詰める"スパルタ絵画教師"の日高は、一歩間違えれば嫌悪感を抱いてもおかしくないキャラクターである。だが、「大泉洋」という血が通った瞬間に温かみを感じる。圧倒的な存在感を持って、私たちの脳裏に"日高先生"を宿らせるのだ。>

漫画家になる夢を持つぐうたら高校生の林明子(永野芽郁)は、箔をつけるために美大受験を決意し、絵画教室に通い始める。そこで先生をやっていたのが日高だった。日高はとにかく高圧的。竹刀を手に「下手くそ!」と罵(ののし)るだけでなく、口を開けば「描け!描け!描け!」と怒鳴る。

時に反発していた明子だったが、厳しい指導に耐え、見事美大に合格。しかし「漫画家になりたい」という夢は日高に言えずにいた......という物語だ。

明子視点から日高を見ると、暴力的だし、描くことを強要するし、もしかしたら「会うのもイヤ!」と思っていたのかもしれない。そんな彼女の割り切れない想いには、観客も深く共感する。

だが、本作を観終えたあと、また日高に会いたくなる。彼の胸の奥にある「本当の気持ち」に触れると、愛さずにはいられないのだ。だからこそ「日高先生を演じたのが大泉洋でよかった」。つくづくそう思わされる。

恩師との出会いと別れの9年間を描く映画「かくかくしかじか」
恩師との出会いと別れの9年間を描く映画「かくかくしかじか」

©東村アキコ/集英社 ©2025 映画「かくかくしかじか」製作委員会

大泉の存在は共演者にも影響を与える。日高の魅力を底上げするだけでなく、永野芽郁演じる明子との小気味よいやりとりや、鈴木仁演じるヤンキーの「今ちゃん」とぶつかり合う場面など、笑いと涙の物語を立体的に立ち上げてみせる。

そう。彼は自分だけが輝くのではない。絶妙な間とリアクションで相手の感情を包み込むように受け止め、その魅力を何倍にも引き出す。そして、目の前の俳優と化学反応を起こすことで、シーン全体の...いや、作品全体の熱量を爆発的に高めていく。「大泉洋」という確かな軸があることで、相手もさらに輝くのだ。

日高先生の想いを知ったとき、明子は何を思うのか?
日高先生の想いを知ったとき、明子は何を思うのか?

©東村アキコ/集英社 ©2025 映画「かくかくしかじか」製作委員会

彼の影響は観客にも及ぶ。いつの間にか心をノックされた私たちは、大泉が表現する物語の世界へと引き込まれていく。ひとたび心の扉を開ければ、あとは彼に身をゆだねるだけ。その没頭できる心地よい時間こそが、大泉洋という男が生み出す極上のエンターテインメントなのである。

映画「かくかくしかじか」は、恩師との出会いと別れの9年間をただ外側から眺めるだけではない。気づけば私たちも日高の生徒になって共に笑い、共に泣く。そうして、明子や日高の人生ごと愛してしまう"奇跡的体験"をもたらしてくれる作品なのだ。

文=浜瀬将樹

放送情報【スカパー!】

かくかくしかじか
放送日時:2026年7月18日(土)21:00~
チャンネル:映画・チャンネルNECO
※放送スケジュールは変更になる場合がございます
©東村アキコ/集英社 ©2025 映画「かくかくしかじか」製作委員会

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