中井貴一の寡黙な色気、鶴田真由の謎めいた魅力――映画「梟の城」で交錯する忍びの使命と2人の愛
映画「記憶にございません!」(2019)のようなコメディから、ドラマ「ザ・トラベルナース」(2022、2024)や「続・続・最後から二番目の恋」(2025)まで、さまざまな作品で存在感を放ってきた中井貴一。
鶴田真由もまた、NHK連続テレビ小説「らんまん」(2023)や大河ドラマ「豊臣兄弟!」(2026)などで印象的な役柄を演じ、現在も映画・ドラマで活躍を続けている。
そんな2人が共演した1999年公開の映画「梟の城」が、10月4日(日)にWOWOWプラスで放送される。
司馬遼太郎の長編第1作にして直木賞受賞作を、篠田正浩監督が豪華キャストで映画化した時代劇大作だ。
©1999 「梟の城」製作委員会
忍者の生き方と、時代に翻弄される人間の情念を描いた物語の舞台は安土桃山時代。織田信長による伊賀攻めで一族を失った伊賀忍者・葛籠重蔵(中井貴一)は、かつての師匠・下柘植次郎左衛門を通じて、堺の豪商・今井宗久から豊臣秀吉暗殺の密命を受ける。そんな重蔵の前に現れるのが、謎の女忍者・小萩(鶴田真由)だ。
©1999 「梟の城」製作委員会
小萩は重蔵に近づくものの、敵なのか味方なのか、その正体は簡単には見極められない。そんな小萩に重蔵は惹かれ、小萩もまた重蔵に強く惹かれていく。忍者としての生き方を貫こうとする重蔵と、立場や思惑を簡単には明かさない小萩。2人の関係は、単純な恋愛では片づけられない緊張感をはらんでいる。
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©1999 「梟の城」製作委員会
物語には、重蔵を追うかつての仲間・風間五平(上川隆也)や、五平の許嫁でありながら重蔵への思いを捨てきれない木さる(葉月里緒奈)も登場。重蔵と並ぶ腕を持ちながら、伊賀を捨てて武士としての出世を望んだ五平と、忍者として生きる道を選んだ重蔵。対照的な2人の生き方が、秀吉暗殺をめぐる物語にいっそうの緊張感を加えていく。
©1999 「梟の城」製作委員会
中井は重蔵を、ただ寡黙で腕の立つ忍者としてではなく、感情を表に出さない抑えた佇まいで演じている。伊賀を滅ぼされた過去と、忍者として生きる覚悟。その両方を抱えた人物像を、容易には本心を明かさない表情や、動き出すまでの静けさに重ねていく。若き日の中井の端正な佇まいに加え、視線や間合いによって重蔵の緊張感を伝える演技が印象的だ。
©1999 「梟の城」製作委員会
一方の鶴田は、立場や思惑を簡単には明かさない小萩を、表情の変化や視線の置き方によって見せていく。任務を背負った警戒心と、重蔵への関心。その2つが交錯する小萩の複雑さが、表情のわずかな変化から伝わってくる。柔らかな表情の奥に本心を隠し、相手を探るような視線を見せる小萩には、つかみどころのない謎めいた魅力がある。
抑えた存在感を放つ重蔵と、つかみどころのない小萩――その佇まいの対照が、敵か味方か分からない2人の関係に緊張感を与えている。
互いの正体や思惑を探りながら、それでも惹かれ合ってしまう危うさは、2人の関係を印象づける要素のひとつだ。言葉少ない重蔵に宿る寡黙な色気と、柔らかな表情の奥に本心を隠す小萩の謎めいた魅力――対照的な2人が、相手を完全には信じられないまま距離を縮めていくところに、この恋の切なさがある。
©1999 「梟の城」製作委員会
そこに、忍者としての使命、かつての仲間との対立、時代の大きな流れが重なり合うことで、重蔵と小萩の物語は単なる恋愛劇にとどまらないものになっている。
©1999 「梟の城」製作委員会
重蔵と五平の対決、甲賀忍者との死闘、吉野山の薪能での暗殺未遂、伏見城への潜入など、忍者活劇としての見せ場も多い。また、SFXなどの映像技術も取り入れながら、壮大な時代劇の世界を作り上げている。大阪城、伏見城、名護屋城、聚楽第などを再現し、建築や衣裳、小道具に至るまで細部にこだわった美術が、色鮮やかな安土桃山文化を伝えてくれる。
©1999 「梟の城」製作委員会
若き日の中井貴一と鶴田真由が共演した「梟の城」。豪華な美術やダイナミックなアクションのなかで息づいているのは、重蔵と小萩をはじめとした人物たちの物語だ。忍者としての使命と、互いに惹かれ合う思いが交錯する本作を、今回の放送であらためて楽しみたい。
文=HOMINIS編集部
放送情報【スカパー!】
梟の城
放送日時:2026年10月4日(日) 14:00~ほか
チャンネル:WOWOWプラス 映画・ドラマ・スポーツ・音楽(スカパー!)
※放送スケジュールは変更になる場合がございます
出演:中井貴一 鶴田真由 葉月里緒奈 上川隆也ほか
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