シャイでおっちょこちょいな魔法動物学者ニュートの活躍を描く「ファンタビ」シリーズの見どころを紹介(『ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密』)

「ハリー・ポッター」とはどんなつながりが?
ニュートやダンブルドアの活躍を描く「ファンタビ」の世界へご案内

2022/12/26 公開

「ハリー・ポッター」シリーズの前日譚となる「ファンタスティック・ビースト」シリーズ。第3弾となる『ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密』(2022年)のWOWOWでの初放送にあわせて、第1作『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』(2016年)と第2作『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』(2018年)も一挙放送されることに。これまでに公開された3作を通して観られるチャンスなだけに、シリーズをざっくりおさらいし、『~ダンブルドアの秘密』の見どころを紹介したい。

小枝のような姿をしたボウトラックルという魔法動物で、鍵を開けることが得意なニュートの相棒、ピケット(『ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密』)

魔法動物を愛する変わり者の魔法使い、ニュート・スキャマンダーの戦いと冒険

あらすじや各作品における敵対関係は、めいめいググれば大量に出てくるので割愛するとして、楽しむためのポイントをピックアップ。まずは第1作『~魔法使いの旅』から。一言で言うならば、この作品はシリーズの主人公、ニュート・スキャマンダー(エディ・レッドメイン)の紹介映画だが、ちょっとした豆知識があると印象がグッと変わる。

本名はニュートン・アルテミス・フィド・スキャマンダーだが、劇中では「ニュート」と呼ばれている。ホグワーツ魔法魔術学校では魔法動物に関する深い知識で優秀だったが変わり者とされ、リタ・レストレンジ(ゾーイ・クラヴィッツ)とだけ仲良しに。そんな彼が一度、退学処分を受けた事件があり、彼の潔白をプッシュしたのが、当時の「闇の魔術に対する防衛術」教授で、「ハリー・ポッター」の時代ではホグワーツの校長となるダンブルドア(ジュード・ロウ)。ダンブルドアはニュートの才能と人柄に惚れ込み、彼に目をかけていた。この前提を知っておけば、この作品を数倍楽しめる。

ホグワーツ魔法魔術学校の出身で特に魔法動物に関する知識と愛情が深いニュート(『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』)

というのも、ニュートのこの出自はそれほど厚く描かれないまま、第1作の幕が開けるからだ。第2作以降でこのプロットが回想劇などで描かれるのだが、最初からちょっとだけ頭に入れておくと、その後のニュートの活躍や「ハリー・ポッター」シリーズとのコネクションを感じることができるはずだ。

そして本作最大の魅力は、登場する魔法動物の数々。「ハリー・ポッター」ではそこまでフォーカスされることがなかった魔法動物だが、このシリーズでは魔法動物専門家のニュートと彼が保護する魔法動物たちの活躍が見どころとなる。数多くの呪文が出てくるだけでなく、どういったパワーを持つかわからない魔法動物たちが次々と騒動を巻き起こすことで、「ハリー・ポッター」で数々の魔法にハマった人にも新鮮な興奮が味わえるのだ。

ニュートとアメリカ合衆国魔法議会の闇祓い、ティナとの関係性にも注目(『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』)

そして第2作『~黒い魔法使いの誕生』のポイントは、なんといってもダンブルドアの登場。ここでダンブルドアとニュートの関係性が明らかになり、これまでに知られてきた魔法ワールドとのつながりが感じられるように。また、ダンブルドアと前作の最後に登場した闇の魔法使いことグリンデルバルド(ジョニー・デップ)、ニュートとティナ(キャサリン・ウォーターストン)、クイニー(アリソン・スドル)とジェイコブ(ダン・フォグラー)、この3組の関係性がそれぞれ変化していき、次作へとつながっていく。

ホグワーツで闇の魔術に対する防衛術の教鞭を執っていた頃のダンブルドアも登場(『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』)

ダンブルドアとジェイコブが活躍する意表を突いた構成の『ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密』

そして『~ダンブルドアの秘密』。この作品は前2作で主人公だったニュートよりも、ダンブルドアとジェイコブが活躍するという意表を突いた構成になっているのが特徴。もちろん、ニュートがいないことにはまとまらない物語だが、グリンデルバルド(※キャストはマッツ・ミケルセンに変更)が台頭するのを阻止するための奇策として、ダンブルドアは魔法界でまったくマークされていないジェイコブを活用するのだ。

ついに動き出した闇の魔法使い、グリンデルバルドの野望を阻止するため、ダンブルドア率いる寄せ集めチームが立ち上がる『ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密』

魔法ワールドのフランチャイズの中では特殊な設定を使ったことによって、先が読めないストーリー展開を構築している。また、前作の最後でにおわせる程度だったダンブルドアとグリンデルバルドの「恋愛関係」が、冒頭でいきなりドカンと投下されるので、一気にこの作品に胸をつかまれるはずだ。

また、このシリーズではニュートが「アメリカに来たイギリス人」、ジェイコブがノーマジ(非魔法使い、つまり人間のこと)の立場であることを使って、マイノリティとマジョリティの視点の対比が描かれているのもおもしろい。

魔法使いのクイニーとノーマジであるジェイコブとの種族の壁を越えた愛もシリーズの見どころに(『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』)

「ハリー・ポッター」シリーズでは、ハリーほか魔法使いが人間界におけるマイノリティとして描かれてきた。シリーズを通して、ニュートは外国で任務を遂行しようとするマイノリティ、または魔法動物を専門とする変わり者、ジェイコブはお門違いの「人間」だが魔法使いへのよき理解者として描かれており、カルチャーギャップや多様性を受容することの大切さをも説いている。これが本シリーズの裏テーマにもなっているので、キャラクターの関係性や物語の舞台となった時代背景などを予備知識として入れておくとさらに楽しめるだろう。

文=よしひろまさみち

よしひろまさみち●1972年生まれ。情報誌、女性誌などの編集部を経て映画ライターに。「sweet」「otona MUSE」での編集・執筆のほか、雑誌、Webでの連載多数。日テレ系「スッキリ」での映画紹介コーナーを担当するほか、TV、ラジオ、イベントでの映画紹介を手掛ける。

<放送情報>
ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅
放送日時:2023年1月7日(土)15:30~、15日(日)14:00~

ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生
放送日時:2023年1月7日(土)17:45~、15日(日)16:15~

ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密
放送日時:2023年1月7日(土)20:00~、15日(日)18:30~
チャンネル:WOWOWシネマ

(吹)ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅
放送日時:2023年1月8日(日)11:00~

(吹)ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生
放送日時:2023年1月8日(日)13:15~

(吹)ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密
放送日時:2023年1月8日(日)15:30~、13日(金)16:35~
チャンネル:WOWOWプライム

※放送スケジュールは変更になる場合があります

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