80年代を席巻したアイドル・河合奈保子、「世界ウルルン滞在記」で見せていた情熱的な一面

アイドル黄金期とされる1980年代。時代を象徴する松田聖子のデビューから2ヶ月後となる1980年6月にデビューしたのが、「エスカレーション」「スマイル・フォー・ミー」などのヒット曲で知られる河合奈保子だ。

清楚な魅力と歌唱力の高さで圧倒的な人気を得た彼女は、結婚・出産を機に芸能活動を休止したが、その前年となる1995年に、人気バラエティ番組「世界ウルルン滞在記」(1995年8月6日放送回)に出演。表舞台から離れている今となっては、貴重な素顔を覗かせている。

芸能人たちが世界各地を旅し、現地でのホームステイ体験に密着するという番組内容で人気を博し、1995年から2008年まで13年半にわたって放送された「世界ウルルン滞在記」。放送開始からわずか4ヶ月後に放送されたこの回では、大の料理好きという河合が、フランス最西端に位置するブルターニュ地方に足を運び、パン作りを学んでいく。

ブルターニュ地方は、三方を海で囲まれ独特の文化を育んできたエリア。食文化の基本ともいえるパンに関しても、伝統的な製法を守りながら様々な工夫を取り入れ、オリジナリティ溢れるパンを作り続けている場所だ。ブルターニュ地方の中心都市ナントから40km程離れた緑豊かな町・ブランを訪れた河合は、フランスの国家試験・MOF(フランス最優秀職人)のパン部門で最高ランクに認定され、国内で10本の指に入る程のパン職人・ショッケさんを訪問。その美しいパンの数々に顔を輝かせ、すぐに弟子入りを志願する。

弟子入りの課題として「究極の造形美である人間の体をパンで作りなさい。ただし、出来たパンはもちろん美味しいものでなくてはならない」という難題が出され、大量の小麦や塩を使う体力勝負の生地作りに「建築現場のよう」と驚きながらも、河合はパン作りに真摯に向き合っていく。

焼き過ぎてしまったりと失敗の連続にもめげず、パン作りの奥深さを学び、時には同じ小麦粉を使ったお好み焼きをフランスの人々に振る舞う場面も。食文化へのこだわりを体験していく姿からは、彼女の情熱を秘めた誠実な人柄が窺えるはずだ。

また、同じく"80年代アイドル"として脚光を浴びた斉藤由貴も「世界ウルルン滞在記」に出演している。

1985年に今も親しまれている卒業ソングの名曲「卒業」で歌手デビューし、女優としても第一線で活躍し続けている彼女は、1998年4月19日放送回に登場し、東ヨーロッパに位置するブルガリアに滞在。一人当たりの年間消費量が80kg(日本人のおよそ16倍！)というヨーグルト王国で、本場ならではの作り方を体験した。

ブルガリアの首都・ソフィアから車で5時間かけ、ギリシャとの国境近くに位置するアルダ村を訪ねた斉藤。ヨーグルトを手作りしていたこともあるという彼女だが、ここでは、村の最長老の娘・アッシャさん宅にホームステイし、ドリャンという木の枝を使ったヨーグルト作りを学んでいく。

ヨーグルトを使った料理にもチャレンジし、コンテストにも出場。アッシャさんから教わったブルガリアの郷土料理で米を使った"バニツァ"というヨーグルト料理を披露するなど、日本から遠く離れた地で見せる貴重なショットの連続だ。

レギュラー放送終了から10数年以上が経った今も、人気俳優やタレントたちが異国でのホームステイ体験を通じ、様々な感情が剥き出しになるドキュメントとして、バラエティ史に刻まれている「世界ウルルン滞在期」。芸能人たちが垣間見せる表情はリアルだからこそ胸に迫るものがあるはずだ。

文＝HOMINIS編集部