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多部未華子の何気ないセリフが主人公を導く鍵に?黒木華、樹木希林と共演した映画『日日是好日』

2022/09/09

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映画『日日是好日』に出演する多部未華子、黒木華、樹木希林
映画『日日是好日』に出演する多部未華子、黒木華、樹木希林

樹木希林が亡くなった2018年に公開され、興業収入が10億円を超えるヒット作となった映画『日日是好日』。第42回日本アカデミー賞を始め、多くの賞を受賞した本作が、日本映画専門チャンネルで9月15日(木)22:00に放送される。原作は森下典子のロングセラーエッセイで、監督・脚本を手がけたのは大森立嗣。本作を制作するにあたり、最初にオファーをしたのは茶道教室の武田先生を演じた樹木だという。茶道を通して自然の恵みや人生の機微を知り、成長していく主人公・典子を黒木華が演じたのは、樹木の要望。

黒木演じる典子は"真面目で理屈っぽい"と言われているタイプ。ある日、典子は、親の勧めもあって従姉妹の美智子(多部未華子)と一緒になんとなく茶道教室に通うことになる。モヤモヤした日々を送っていた典子のことを、飄々とした佇まいで茶道の極意を教える武田先生や、ハッキリした性格で行動派の美智子が時間をかけて変えていき、また、この2人が、典子が典子らしく生きるヒントを与えてくれる存在にもなっている。親戚でありながらも親友のように共に青春期を過ごす多部未華子の本作でのポジションにも注目したい。

■直感で人生を決めていくアクティブ女子を多部が演じる

親に勧められても茶道教室に通うことにピンときていなかった典子の背中を押したのは、たまたま家に遊びに来ていた美智子。「私、お茶やりたい!一緒にやろうよ」の一言で2人は茶道教室に通うことに。思ったことをすぐに口に出す美智子は、武田先生から畳の歩き方を習い、おそるおそる歩く典子を見て「コソドロみたい」と笑ったりと未知の世界を楽しんでいる。美智子が夏休みにフランスとイギリスに旅行に行く前には松任谷由実の「真夏の夜の夢」を2人でハイテンションで歌ったり、冬の海に遊びに行ってはしゃぎ、将来のことを語ったり。典子のそばにはいつも美智子がいた。

希望の出版社の就職試験に落ちた典子に対し、美智子は貿易会社への就職が決まる。大学を卒業して3年がたった夏には、会社を辞めて実家に帰り、お見合い結婚をすると宣言。まだ出版社に入れず、記事を書くアルバイトをしている典子にとって、美智子はいつも自分の先へ先へと進んでいってしまう存在。しかし、そんな彼女がいるからこそ、再び、出版社を受ける勇気が湧いてくる典子。

着物姿で慣れないお茶の作法を教わる初々しくかわいい仕草や、結婚式でのウエディングドレス姿など、多部の華やかさが映画に彩りを与えている。

■美智子が放つ疑問は典子の人生を豊かにするヒントに

武田先生のお宅に飾ってあった書"日日是好日"を見て、「なんて書いてあるの?」と典子に問いかける美智子。お茶会の時にも同じ禅語が書かれた掛け軸を発見し、「毎日がいい日だってことじゃない?」と言う典子に「でも、それだけ?」と疑問を投げかける。

2人の会話で印象的だったのは、典子が子どもの頃、親と見たフェリーニの名作「道」について話すシーン。子供の頃にはわからなかったのに大人になって見たらすごい映画だったと言う典子に対し、美智子が「もしかしたらお茶ってそういうものだったりして。あんた、お茶、好きでしょ?」と返すのだ。

やがて典子は、夏の雨と秋の雨の音が違うことに気づくようになったり、書から滝が流れる音を感じるようになったりしたことを通して"日日是好日"に込められた意味に気づく。

演技をしていることすら感じさせない樹木の表情、言葉、佇まい。日本の四季折々の美しさを切り取った映像、癒される音。深い余韻を残す映画を、黒木演じる典子の成長や、物語に華を添える多部の役どころも含めて楽しんでほしい。

文=山本弘子

放送情報【スカパー!】

日日是好日
放送日:2022年9月15日(木)22:00~ほか
チャンネル:日本映画専門チャンネル
※放送スケジュールは変更になる場合がございます

詳しくは
こちら

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