窪田正孝が「カメレオン俳優」ぶりを発揮!宮沢りえとの絶妙なバディが笑いを生む映画『決戦は日曜日』

2006年のデビュー以来、作品ごとに全く異なる印象を与える"カメレオン俳優"ぶりが高く評価されている窪田正孝。8月6日に34歳の誕生日を迎えた今年は、月9初主演となった人気シリーズを映画化した『劇場版ラジエーションハウス』をはじめ、『マイブロークン・マリコ』(9月30日公開)、『ある男』(11月18日公開)などが立て続けに公開され、来年も斎藤工が監督を務める主演映画『スイート・マイホーム』が公開を控えている。
ヒューマンドラマ、ミステリー、ホラーと多彩なジャンルで活躍する窪田だが、2022年の年明け早々に公開された主演映画『決戦は日曜日』では、雰囲気をがらりと変えてコミカルな魅力を発揮している。

(C)2021「決戦は日曜日」製作委員会
9月23日(金)にWOWOWシネマで放送する本作は、窪田と宮沢りえが共演したポリティカルコメディ。とある地方都市で当選を続けていた衆議院議員・川島が病に倒れ、それと時を同じくして衆議院が解散。川島の娘・有美が後継者として担ぎ出され、その補佐役として川島の私設秘書・谷村勉が業務にあたるが、政界に無知な二世候補に振り回される...。
そんな前代未聞の選挙戦の裏側をコミカルに描き出したのが、『東京ウィンドオーケストラ』(2017年)や『ピンカートンに会いにいく』(2018年)など、日本コメディ映画の新時代を担う坂下雄一郎監督。約5年の月日をかけて執筆した坂下監督のオリジナル脚本に惚れ込み、出演を快諾したという窪田が、主人公の議員秘書・谷村勉を演じた。
事なかれ主義だった谷村がぶち当たる、有美の想定外の行動。とんでもないやらかしに呆れ、驚き、尻拭いに奔走する日々を送る中で、忘れかけていた仕事への熱意や正義感が少しずつ変化していく。生気のない冷めた目から、だんだん素直な感情を露わにし、ついには彼女の"作戦"に乗ってしまう。真っすぐな有美の謎の熱意にあてられて、いつのまにか瞳に光を宿している。物語の始めとは表情や声がまったく異なり、谷村の成長がはっきりと見てとれる。

(C)2021「決戦は日曜日」製作委員会
自由奔放で世間知らずな二世候補・有美は本格コメディ映画初挑戦となる宮沢が演じた。不器用だが強い心を持ち、いつだって真剣そのもの。登場からポンコツぶりが丸出しで、真剣であればあるほど笑いが込み上げる。面白おかしくデフォルメしたような口調や身振り手振りも、いたら困るが実在しそうに思えてくる。冷めた谷村の目を通して映し出される、無駄に熱い有美の滑稽さもたまらない。こんなにも振り切った宮沢のコミカルな姿はなかなか見ないだろう。
クセ者揃いの秘書軍団も注目の実力派が揃った。オーディションで選ばれた赤楚衛二は、今時の若者らしい新人・岩渕を好演。まだ慣れない世界に狼狽えながらも、少しずつ毒され受け入れていく姿もリアルだ。紅一点でチームの調和役を担う田中には内田慈、ベテラン秘書の濱口にはたぬき親父ぶりが板につく小市慢太郎、妙に愛らしい人情派の向井には音尾琢真...と、リアルにクセ者な役者たちが並ぶ。日頃から有美に振り回されている彼らだが、真剣な有美に対する呑気な本音や、駄々っ子をあやすような態度もくすりと笑える。
失言やスキャンダル、漢字の読み間違えなど、政界を賑わせたニュースもパロディとして随所に散りばめられ、ある意味では政治に毒されていない有美と秘書チームの視点から見る選挙の裏側がユニークに描き出されている。そつなく淡々とした窪田と暑苦しい宮沢の凸凹バディ感も絶妙だ。真剣であればあるほど、人は滑稽で愛おしい。窪田ら演技派たちによる、実に生き生きとした全力の空回りぶりを楽しみたい。
文=中川菜都美
放送情報【スカパー!】
決戦は日曜日
放送日時:2022年9月23日(金)23:15~
チャンネル:WOWOWシネマ
※放送スケジュールは変更になる場合があります
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