寺島進が多摩での墓参りを実践し続ける恩人・松田優作への畏敬の念

寺島進が主演を務める人気連続ドラマシリーズ「駐在刑事」が、ホームドラマチャンネルにて9月18日(日)より一挙放送される。

同作品は、テレビ東京系で2014年から放送しているサスペンスシリーズで、自然豊かな奥多摩を舞台に、寺島演じる元捜査一課刑事の"駐在さん"・江波敦史の活躍を描く人情味あふれる人気作。今秋、テレビ東京系列で新作のスペシャル版も放送される。

今回、寺島にインタビューを行い、9年目に突入している作品や役に対する思い、撮影秘話などについて語ってもらった。

――9年目に突入している同作品が愛されている理由についてどのように考えられていますか？

「まずは"見やすさ"と"分かりやすさ"と"美しさ"だと思うんですよね。それに加えて、年配の方からちっちゃい子供までが観て何かを感じてもらえるという"いろんな世代の人に受け入れられている"というところだと思います。あとは、レギュラーキャストもメインスタッフもほぼ変わっていないので、みんなとのチームワークがいいからこそやり続けられているなあと思います」

――主演作で長寿作品である同ドラマと江波という役は、ご自身にとってどのような存在ですか？

「いろんな刑事ドラマがあって、いろんな刑事役もやりましたけど、その中でも『駐在刑事』という作品は、奥多摩を舞台にした、奥多摩の人たちと地域密着型で一緒に事件を解決していくっていう刑事ドラマでも画期的なドラマだと思います。そんな作品を今まで続けてこられたというのは、スタッフと個性豊かなキャスト陣にすごく感謝しています。ちょっと大げさなんだけど、例えば俺が亡くなったら棺の中に『駐在』に関係する品々を全部入れてもらいたいぐらい！もし俺が亡くなったら、多分、加倉井管理官(北村有起哉)が左遷されて、駐在を引き継ぐと思います(笑)。そのぐらい長く続く自信のあるドラマだと思うので、『ずっとやり続けていきたいな』と思っていますし、そのくらい思いが強いですね」

――江波を演じる上で心掛けていることは？

「"ハンドルのあそび"のような感じで、堅苦しくなく、ちょっと"あそび"がある方がいいかなと思って演じています。制服もあんまりキチッと着るんじゃなく、帽子もちょっと斜めに被っちゃったりとかね」

――江波の気さくなキャラクターは寺島さんのお人柄とリンクするのですが、その点は意識されているのでしょうか？

「それはあんまり考えたことはないですけどね(笑)。でも、役者ってやっぱり、どうしても生きざまが出ちゃうと思うんですよ。自分は東京の下町の生まれ育ちなんで、近所づきあいとか普通にあったので。そういう部分では"寺島と江波を寄せる"とかは考えず、自然体でやらせてもらっています」

――9月18日(日)にシーズン1、19日(月)にシーズン2が一挙放送され、28日(水)よりシーズン3がCSで初放送されます。シーズン3の注目ポイントは？

「橋本じゅんさんにゲストで出ていただいた親子の話を描いた回があるんですけど、その中で奥多摩の星空がすごくきれいなシーンがあって、自分はそれがすごく印象に残っているんで、そこはぜひ画面で見てもらいたいですね。あと、シーズン3から藤井美菜さん演じる和泉玲香という課長が奥多摩署に来るんですけど、そこでの佐藤寛太演じる軽部とのやり取りも面白いですし、だんだんなじんでいく和泉課長の心の動きも見どころです。そして、軽部が市毛良枝さん演じる美也子の店で本音を語るシーンといったグッとくる場面なんかもたくさんあって見どころ満載です！」

――撮影以外で奥多摩を訪れることはあるのでしょうか？

「昔は結構バイクで行ったことがありますし、自分の恩人でもある俳優の先輩の松田優作さんのお墓参りに、よく(築地本願寺)西多摩霊園に行っています。プライベートでもそうですし、このドラマの撮影が早く終わった日とかにも行きます」

――江波には駐在になったきっかけでもある"大きな後悔"がありますが、ご自身の忘れられない失敗談を教えてください。

「20代後半の時に、アメリカ合衆国で一人旅をしたんですよ。矢沢永吉さんの歌が好きで、矢沢さんの歌で『トラベリン・バス』っていうのがあって、1人でいろんな街にバスで行くっていう歌なんですけど、それにちょっと憧れてニューヨークから南経由でロサンゼルスまでバスに乗って移動するというのをしたんです。その途中、ニューオーリンズからエル・パソ行きのバスに乗ってた時に、20何時間乗りっぱなしなんで車中で寝て朝目覚めて、たばこが吸いたくなったから、バスの後ろにあるトイレでこっそり一服したんですよ。そうしたら、なんでか知らないけど運転手にばれてテキサスのど真ん中で降ろされて...。『もう楽しむしかないな』と思って、暑い中しばらくテキサスでぷらぷらしてました(苦笑)」

――最後に作品をご覧になる皆さんにメッセージをお願いします！

「『駐在刑事』シーズン1、シーズン2、シーズン3が一挙に放映です！お祭りみたいなもんで、"駐在祭り"だと思って楽しんで観てください！(笑)」

文＝原田健