第2の新垣結衣との呼び声も!南沙良が表現する好きな人への思いと裏腹な言動

"第2のガッキー"とも呼ばれる、今最も勢いのある若手女優・南沙良。そう呼ばれる所以は、「新垣結衣と同じ雑誌の専属モデルオーディションのグランプリに輝いたことが芸能界入りのきっかけ」「かつて新垣も務めた人気チョコレート菓子のイメージキャラクターに就任」「新垣と同じ事務所に所属」「かつて新垣が出演していたドラマ『ドラゴン桜』の第2シーズン(2021年、TBS系)に出演」といった数多くの共通項があり、何より南本人が憧れの女優として新垣を挙げていることも、その理由の一つ。だが、経歴だけでなく演技力に関しても"第2の新垣結衣"と称しても見劣りしないほどの実力を持っている。
2014年に雑誌「nicola」の専属モデルとして活動をスタートさせた南は、2017年に映画「幼な子われらに生まれ」で女優デビュー。翌年の2018年に映画「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」で映画初主演を務め、同作で数々の賞を獲得した。そして、2022年には「大河ドラマ 鎌倉殿の13人」(NHK総合他)に出演するなど、着実に女優としての階段を上っている。そんな彼女の演技力が堪能できる作品がドラマ「サヨウナラのその前に Fantastic 31 Days」だ。
同ドラマは、朝の情報番組「ZIP!」(日本テレビ系)内で放送されたもので、隕石衝突による地球最後の31日間を月曜から金曜まで5人の主役がリレー形式で紡ぐ物語。奥平大兼、南沙良、北村一樹、真木よう子、西岡星汰が、それぞれ違った立場で違った悩みを抱える主要キャラクターを演じる。5人は1話8分という短い時間の中で、それぞれが演じる役の感情を細やかに演じ切り、北村、真木は言わずもがな、若手俳優3人も素晴らしい演技を披露。

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奥平は両親から見放されてしまった男子高校生、北村は家族とのコミュニケーションがうまくいっていない物理教師、真木は別れた彼との子供を身ごもっている喫茶店店主、西岡は2年前から引きこもりを続けている高校生と、それぞれが内なる悩みを抱えて地球滅亡のカウントダウンが進む日常を葛藤しながら送っており、Xデーが近づくにつれて自身の悩みと向き合うようになり、少しずつ足を踏み出していくさまを丁寧に表現。
そんな中、南は奥平演じる椿木宙に思いを寄せながらも、その思いを伝えられない幼なじみの観月未希を熱演している。未希は、頭が良く常に冷静で理知的、いつもクールに振る舞う性格なのだが、こと宙と対面するといつもの冷静な自分ではいられなくなり、素直になれないまま13年間も片思いをし続けているという"こじらせ"女子。この"こじらせている"部分の表現が秀逸で、自分ではハンドリングできない"年頃の女の子の恋心"が思わず溢れ出るさまが、観る者にシンパシーを感じさせて共感を誘う。
加えて、この作品の特徴でもあるのだが、日替わりで視点が入れ替わるため、主役の心情がモノローグで語られていくところがポイント。つまり、役者は芝居をしながら頭の隅で、後で自分が吹き込むモノローグのせりふを意識しつつ演じないといけないというなかなかハードなことをやってのけているのだ。観る側からすれば、モノローグで心情を聴きつつ、それを踏まえた芝居を観るため、とても分かりやすく楽しみやすいが、作り手側の目線で見るその難易度の高さは想像に難くない。
南が表現する好きな人への込み上げる思いと、それとは裏腹に出てしまう言動。恋する乙女のなんとも言えない観る者を身悶えさせる細やかな感情表現を堪能しつつ、若木の演技力のポテンシャルの高さを感じてほしい。
文=原田健
放送情報【スカパー!】
サヨウナラのその前に Fantastic 31 Days
放送日時:2022年10月5日(水)23:50~
チャンネル:ファミリー劇場
※放送スケジュールは変更になる場合があります
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