トム・クルーズの青春スター時代！今見返したい「トップガン」以前のフレッシュな初主演作

36年ぶりの続編となった「トップガン マーヴェリック」が日本の興行収入で130億円を突破し、世界的な大ヒットを記録しているトム・クルーズ。今年の7月に還暦を迎えたが、「トップガン マーヴェリック」では実際に戦闘機に乗り込んで撮影を行なうなど、年齢を感じさせないハードなアクションは健在。来年公開の「ミッション：インポッシブル／デッドレコニング PART ONE」でも、バイクで大ジャンプを決めてそのまま崖から落下...など、自らスタントをこなしたアクションを数多く楽しむことができそうだ。

今、再び注目を集めているトムの原点ともいえるのが「卒業白書」。1983年に製作されたこの作品はトムを一躍トップスターの座へと押し上げた出世作で、記念すべき映画初主演となった青春ドラマだ。

トムが演じているのはシカゴ郊外の中流家庭で育ち、名門大学を目指す高校生のジョエル。進学できるのか自分の将来に不安を感じつつも、興味はセックスのことばかりという思春期真っ只中。両親が旅行へと出かけた隙に、コールガールのラナを自宅に呼んだことから、ラナと彼女のヒモ男のイザコザに巻き込まれてしまい、しまいには自宅を娼館にしたポン引き稼業に手を染めることになる。

親の留守を満喫しようと浮かれすぎたために騒動に巻き込まれ、危険な夜の世界を覗き見ることになるジョエル。ウブな高校生が味わう天国と地獄を、トムはコントラストのある演技で体現している。例えば、親の留守を喜んでワイシャツ＆白ブリーフ姿でノリノリでダンスをするシーンは、その後の数々の作品でパロデイにされるほどのハッチャケぶり。また、ラナにドギマギする初々しい表情はとにかくチャーミングだ。

一方、パッとしない成績に悩む高校生のモヤモヤや悪化する事態にヤケになっていく変化も巧みに表現。学校を停学になってしまい、将来に絶望する眼差しを浮かべたかと思えば、どうにでもなれと吹っ切れた爽やかさすらある顔つき、自信に満ちた振る舞いなど、ウブな高校生が一皮向けていく様子を感情豊かに活写している。

さらに、湖に落ちそうになる車を止めようとボンネットにぶら下がったり、テストに間に合おうと全力疾走したり...と、必死の表情を浮かべてのアクションは、現在のトムに通じる片鱗も見せている。

フレッシュかつ繊細な表情から大胆な姿まで抜群の存在感を発揮し、高校生の心の揺らぎを表現したトムは、ゴールデングローブ賞で主演男優賞にノミネートされ一躍ブレイク。その後「トップガン」(1986年)や野心的なバーテンダーを演じた「カクテル」(1988年)といった作品をヒットに導き青春スターとして活躍していくのはご存知の通りだろう。トムの原点ともいえる初主演作で、改めてその魅力を堪能したい。

文＝HOMINIS編集部