2024/03/30
約20年ぶりに共演した妻夫木聡と藤原竜也の特別な絆を感じさせる、ドラマ「Get Ready!」
「お前に生き延びる価値はあるのか?」。
手術を望む患者に対して、超一流の腕を持つ闇医者は究極の問いを突きつける。2023年1月に放送されたTBS系ドラマ「Get Ready!」は、そんな闇医者チームを軸に生きる意味を問い直す異色の医療ドラマだ。妻夫木聡と藤原竜也が約20年ぶりに共演し、松下奈緒や日向亘が闇医者チームの一員として出演する。
超人的なオペ技術を持つ孤高の天才執刀医・通称"エース"(妻夫木聡)は、法外な報酬と引き換えにどんな患者の命も救う闇医者。彼を筆頭に、患者との交渉役である"ジョーカー"(藤原竜也)、すご腕オペナースの"クイーン"(松下奈緒)、若き万能ハッカーである"スペード"(日向亘)の4人は、正体不明の闇医者チームとして他では見放された患者たちを救い出す。
妻夫木聡が演じるエースにとって最も重要なものは報酬の額ではなく、「その患者に生きる価値があるか」という彼独自の基準だ。その価値がないと判断すれば、どんなに金を積まれてもオペは受け付けない。寡黙で冷酷、ときには天才すぎるがゆえにチームを振り回してしまうが、救うと決めた患者に対しては彼なりのやり方で真っ向から向き合う人物だ。
エースの相棒役と呼べるのが、藤原竜也が演じるジョーカー。表の顔は優秀な国際弁護士で、物腰柔らかながらも端的な物言いで患者に交渉を持ちかける。他人の言葉に耳を傾けないエースに手を焼いているが、彼のことを誰よりも信頼しているのは他ならぬジョーカーだろう。
性格に少々難があるエースのことを他の2人が変人呼ばわりしようとも、ジョーカーは根気よくエース独自の基準や理念に歩み寄ろうとする。その姿勢は時にいじらしいほどだ。彼がこれほど信頼を寄せているのは、エースが自身の命の恩人であるからに他ならない。
ジョーカーは治る見込みのない病に冒されていた時にエースと出会い、エースのオペによって命を救われた。涙をにじませ笑顔をこぼしながら運命的な出会いを語るジョーカーの姿からは、彼の並ならぬ思いがうかがえる。
そんな絶大な信頼を寄せてくる相棒に対しても一様に無愛想なエースだが、彼らの関係性は決して一方通行ではない。エースもまたジョーカーに救われたのだ。それは中盤で描かれるジョーカーの過去編で明らかになる。
バディ感の強いエースとジョーカーだが、実のところ彼らが2人だけで行動することはあまり多くない。それでも特別な絆が感じられるのは、互いが互いの救いであるという崇高な繋がりと、その関係性を血肉に宿して撮影に臨んだ妻夫木・藤原の演技の賜物だろう。
文=本永真里奈
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