2024/09/13
40歳を迎えるユン・ウネ、「宮」や「コーヒープリンス1号店」当時の人気ぶりが窺えるチャーミングなコメディ演技
2000年代後半、社会現象レベルの一大ムーブメントを巻き起こした韓国ドラマ「コーヒープリンス1号店」(2007年)。コン・ユやイ・ソンギュン、キム・ジェウクら、多くのスター俳優を生み出した同作において、視聴者から抜群の支持を集めたヒロインと言えば、"コーヒープリンスの紅一点"ウンチャンことユン・ウネだ。
放送当時はボーイッシュなショートカット姿で初々しい魅力を放っていた彼女も今年10月には40歳に。そのチャーミングな美貌は今も変わらず、SNSなどでも愛嬌たっぷりの素顔が注目を集めている。
アイドルとしてキャリアをスタートさせたのち、ドラマ初出演にして初主演を飾った「宮 -Love in Palace-」(2006年)でブレイク、翌年の「コーヒープリンス1号店」も爆発的にヒットするなど、キャリア初期から華々しく活躍していたウネ。当時主演したラブコメ「ぶどう畑のあの男」(2006年)でもオ・マンソクと息の合った掛け合いを披露し、高視聴率をマークした。
9月27日(金)深夜よりKBS Worldにて放送される本作は、お金のためにソウルから田舎のぶどう園にやってきたデザイナー志望のジヒョン(ユン・ウネ)が、そこで働く青年・テッキ(オ・マンソク)と繰り広げるドタバタラブコメディ。叔父から"1万坪のぶどう畑"の相続を持ち掛けられ、その条件として畑で1年間働くことになったジヒョンだったが、あまりの過酷さに早々にギブアップ...。それでも、テッキの熱意や田舎の人々の温かさに触れるうちに、心境に変化が現れ始める。
序盤ソウルのデザイン会社で働く場面から、ユン・ウネの振り切ったコメディ演技がストーリーを盛り上げていく。借金に悩まされたり上司にデザインのアイデアを盗まれたりと、過酷な状況に追い込まれても、あっけらかんとしたジヒョンの明るいキャラクターのおかげで悲壮感はゼロ。最悪な出会いを果たしたテッキとの憎まれ口の応酬もテンポよく、ラブコメらしい賑やかな展開に引き込まれていく。
田舎暮らしが始まると、愛嬌たっぷりのジヒョンのキャラクターにさらに拍車がかかる。ぶどう畑に現れた彼女はノースリーブにミニスカート、ハイヒールのサンダル姿で、畑仕事への心構えはまるでなし。「日差しで頭が痛いし、肩も痛い」とブーブー文句を言った挙句、やればやるほど畑のぶどうをどんどんダメにしてしまう。それでも「最初から上手な人はいない」とポジティブに開き直る姿が何とも健気で、憎めない。
そんなジヒョンに、テッキからは容赦ないツッコミが飛ぶ。「手が荒れちゃう。私デザイナーなの」と手袋をしたまま畑仕事をしようとするジヒョンに対して「会社をクビになったプータローのくせに」と一刀両断。それでも、ジヒョンに作業服をさりげなく手渡したり、彼女が貯水池に落としたサンダルを探しにいったりと、根はやさしい好青年。愛すべき2人がラブコメお約束の口げんかを繰り広げながら、次第に距離を近づけていく。
テッキ役のオ・マンソクは、「愛の不時着」(2019年)で強烈なインパクトを残した北朝鮮の少佐チョ・チョルガン役でもおなじみ。名作ミュージカル「ヘドウィグ」の主人公を2005年の初演から演じ続けるなど、ミュージカルスターとしての実力は折り紙付きで、韓国ミュージカル大賞の主演男優賞を受賞している実力派だ。本作でのユン・ウネとの相性も抜群で、「KBS演技大賞」では2人そろって新人賞とベストカップル賞を受賞している。
「愛の不時着」の少佐チョ・チョルガンの印象とはあまりにギャップのあるオ・マンソクの若々しい姿も今となっては貴重だが、ユン・ウネの弾けるようなフレッシュさが何より魅力的。当時"新世代のコメディエンヌ"として脚光を浴びた、その輝くようなスターオーラが眩しい1作だ。
文=酒寄美智子
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