「ダイナマイト・キス」とは全く異なる愛情表現も...チャン・ギヨンの"孤独な眼差し"に胸が締め付けられる初主演作「ここに来て抱きしめて」
昨年末に最終回を迎え、NetflixグローバルTOP10(非英語作品)に連続ランクインするなど大きな支持を集めた王道ラブコメ「ダイナマイト・キス」。
特に、財閥の御曹司を演じたチャン・ギヨンのツンデレぶりや、時にエスカレートする愛情表現の数々にときめく"中毒者"が続出。逞しい体躯と涼し気な目元のせいか、どこか陰を感じさせる印象の強かったギヨンのラブコメ演技にハマったというファンも多かったことだろう。
(C)2018MBC
モデルを経て2014年に「大丈夫、愛だ」で本格的に俳優として活動を始めた彼の初主演作は、そんな王道ラブコメとは正反対の切なすぎる恋模様が話題になった純愛ストーリー「ここに来て抱きしめて」(2018年)。互いに惹かれ合っていた初恋同士の2人が、"殺人者の息子"と"被害者の娘"という境遇に置かれ、過酷な宿命を乗り越えていく物語だ。
(C)2018MBC
「ゴー・バック夫婦」(2017年)、「マイ・ディア・ミスター~私のおじさん~」(2018年)での好演が光り、当時すでに若手注目株として脚光を浴びていたギヨンが演じるのは、善良で賢明な性格の主人公ユン・ナム。
ソウルから引っ越してきた国民的女優の娘キル・ナグォンと同級生となり、初めての出会いから自然と惹かれ合った2人はかけがえのない日々を過ごしていた。だが、クリスマスイブの夜、ナムを偏愛する父ヒジェ(ホ・ジュノ)がナグォンの両親を殺害。ナグォンまで手にかけようとした時、ナムが自ら警察に通報し、父親を刑務所送りに。ナムとナグォンは一晩にして、加害者・被害者家族という相反する間柄になってしまう。
そして月日が流れ、ナムはチェ・ドジン(チャン・ギヨン)と名を変えて警察大学に進学し、ナグォンもまたハン・ジェイ(チン・ギジュ)という名前で母と同じ女優を志す。やがて警察大を首席で卒業し、強力班の刑事になったドジンは、人気女優になったジェイと思わぬところで再会。止まっていた2人の時間が再び動き出すが、その一方で父ヒジェも新たな罪を犯そうとしていた...。
(C)2018MBC
名を変えて別々に生きる2人の"現在"と、おぞましい事件当時の回想シーンが交互に描かれるサスペンスタッチの本作。根底に流れるのは、韓国中に知れ渡った残酷なサイコパスの息子として世間から非難され続ける宿命を淡々と受け止めてきたドジンの、深い孤独だ。
警察大学の面接でもその事実を隠さず、卒業式典では父に殺された被害者の遺族に胸ぐらを掴まれ暴言を吐かれてもただ帽子をとって謝罪の言葉を繰り返す。被害者遺族、そして加害者家族はどう扱われるべきかという重い問いを内包した本作で、ドジンの哀しいほどに正義感にあふれた愚直なキャラクターが胸を打つ。
そんなドジンを、ジェイことナグォンとの初恋の思い出が支えている。警察大学の休憩室、自動販売機の広告写真の中で微笑むジェイをいつまでも見つめ、遠くから彼女を守ることを心の中で静かに誓う。
(C)2018MBC
そんな2人の運命的な再会シーンも印象的だ。記者たちに過去の事件についてしつこく取材され、精神的に追い詰められて倒れたジェイを抱きかかえて医務室へと運んだドジンは、眠っているジェイに自分の上着をかけてやり、その寝顔に触れようとして、思いとどまる。そして、名乗ることもないままその場を去っていく。
唯一の心の支えであり続けたジェイが目の前にいるのに、その頬に触れることすらも律するドジン。触れたい、でもそれは許されない――過度な感情表現はなくとも、眼差しには絶えず、ジェイへの心苦しさとヒリヒリした痛みがにじみ出る。韓国では"眼光職人"とも呼ばれるギヨンならではの眼差しの演技が強烈だ。
(C)2018MBC
「2018 MBC演技大賞」の5冠に輝いたこの作品で優秀演技賞を受賞し、スター俳優へと駆け上がったギヨン。「ダイナマイト・キス」ともまた違う、彼の瑞々しくも鮮烈な演技を今改めて目に焼きつけたい。
文=酒寄美智子
放送情報【スカパー!】
韓国ドラマ「ここに来て抱きしめて」日本語字幕版
放送日時:2026年3月15日(日)11:00~
チャンネル:フジテレビTWO ドラマ・アニメ(スカパー!)
※放送スケジュールは変更になる場合があります
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