石原さとみが"おじさん"を好演?若手時代の意欲作「椿山課長の七日間」で見せた、コミカルの中にも光る確かな表現力
女性ならば誰もが憧れずにはいられない圧倒的なビジュアルながら、どこか親しみやすい笑顔が魅力の石原さとみ。コメディからシリアスまで幅広いジャンルで魅力的な人物を好演し、多くの映画やドラマを華やかに彩ってきた。近年は仕事でもプライベートでも充実ぶりを見せ、ますます大人の女性として輝きを増す彼女。5月からは、第2子産後の復帰作となる舞台「リア王」に出演予定で、野心に燃える妖艶な悪女・ゴリネル役に挑戦するなど、役者としても進化し続けている。
そんな彼女の意欲作として知られているのが、2009年制作のスペシャルドラマ「椿山課長の七日間」だ。
百貨店の課長としてバリバリ働く椿山和昭(船越英一郎)は、全店を挙げての「大創業祭」の初日に接待の席で突然倒れ、意識を失う。その後、目を覚ますと見知らぬ草むらにいた椿山は、"あの世のお役所"にたどり着き、享年46歳、戒名は"昭光道成居士"と窓口で告げられた上に、生前の悪行として「邪淫の罪」を下されて地獄行きが決定してしまう。愛妻・由紀(戸田菜穂)とひとり息子の陽介(小清水一揮)のため、懸命に生きてきたと訴える椿山。若い頃に一線を超えたこともあるものの、現在では親友と呼べる関係の同僚・佐伯知子(田中美佐子)との仲を怪しまれていると考え、えん罪を晴らすために現世へ戻る特例措置を申請する。同じ頃、人違いで射殺されたヤクザの親分・武田(北大路欣也)と、事故死した男子小学生・健太(平澤慧洸)も特例措置を求め、彼らに初七日が終わる3日後までの甦りが許可される。生きている人間に正体を知られないこと、復讐をしないことを約束し、正体がばれないよう、生前と最も対照的な姿になるというルールのもと、3人は現世へと戻ることに。そうして若く美しい女性(石原さとみ)として甦った椿山は、"和山椿"として家族に会いに行くが、予想もしていない事態を自宅で目撃する...。
■見た目は美女、中身はおじさん...コミカルな設定の中でも石原さとみの表現力がキラリ
(C)テレビ朝日・MMJ
本作で石原が演じたのは、見た目は爆美女だが、中身は中年男性というコミカルかつファンタジックな役柄。その中身が椿山課長だと視聴者が一目でわかるほどに、石原は変顔も厭わない豊かな表情とアクションを披露する。中でも、甦った椿山課長が初めて爆美女としてホテルのベッドで目覚め、鏡の中の自分を見て驚くシーンが、とにかく楽しい。あまりの衝撃に絶叫する姿や、霊界のお役所担当者(清水ミチコ)との会話など、船越のダイナミックで個性的なセリフ回しが乗り移ったかのような熱演。さらに、自分が爆美女になったことを椿山が鏡を見つめながら確かめる場面では、セクシーポーズを取った石原が「可愛いじゃん、俺」と満足げにつぶやく。その時に見せるギラギラとした眼光は、まさに中年男性のそれで、石原の演技力の高さに圧倒されるのと同時に、思わず笑いがこみ上げてしまう。
近年は、硬派なラブ・サスペンスドラマ「Destiny」での検事役や、映画「ミッシング」で演じた、娘の失踪事件を機に「育児放棄の母」と世間から誹謗中傷を受ける母親役などで、クールで重厚な演技を見せ、俳優として新境地を切り拓いている石原。そんな彼女が20代前半、若手時代に出演した本作では、元気いっぱいのフレッシュでコミカルな演技を披露しており、観る者を笑顔にしてくれる。
椿山がホテルのバーで、中身がヤクザの親分・武田である弁護士の竹之内にナンパされるシーンでは、ダンディーな竹之内が放つ大人の色気にうっとりしたり、濃いアルコールに少し顔をしかめたり、我を取り戻してグラスをあおったりと、石原がキュートな百面相を見せている。コミカルで可愛らしいと同時に、演技力の高さも味わえる絶品シーンだ。その他にも、椿山の父・和利(津川雅彦)との再会シーンでこぼす真珠のような涙や、息子・陽介とキャッチボールをする時に見せる父性を感じる優しい微笑みなど、若手ながらも確かな表現力を持つ石原の魅力が、これでもかと詰め込まれた本作。その味わい深い演技に注目しながら、笑って泣けるハートフル・コメディで笑顔になってほしい。
文=中村実香
放送情報【スカパー!】
椿山課長の七日間
放送日時:2026年5月2日(土)14:00~
チャンネル:テレ朝チャンネル2(スカパー!)
※放送スケジュールは変更になる場合がございます
出演:石原さとみ 船越英一郎 田中美佐子 戸田菜穂 高岡蒼甫 東ちづる 中村俊介 津川雅彦 北大路欣也
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