美空ひばりと高倉健が恋に歌に人生を謳歌する...エンターテインメントの真髄を見せた映画「娘の中の娘」
昭和の歌姫・美空ひばりと、銀幕の伝説となった高倉健。昭和のエンターテインメント界を引っ張ったふたりは、数々の映画でタッグを組み、夢の共演を果たしてきた。そのなかで、働く人々の複雑な恋愛模様を描いた映画が「娘の中の娘」(1958年)である。
「小説サロン」で連載されていた源氏鶏太の小説を映画化した本作は、「昭和残侠伝」シリーズの佐伯清が監督、「連合艦隊」の須崎勝彌が脚本を務めた名作である。キャストは、当時すでに歌手としても俳優としても人気絶頂だった美空と、1956年に映画デビューしたばかりの高倉に加え、山村聰、三原浩、小野透、今井俊二、山東昭子、中村雅子、長谷部健と豪華メンバーが名を連ねる。
(C)東映
母親がこの世を去ってから、家事のいっさいを担う"快活な近代娘"桂子(美空ひばり)は、一念発起して会社に就職し、サラリーガールに。彼女は、就職試験のとき試験官だった石岡(高倉健)という男と仲良くなるが、事務員の淑子(星美智子)も彼に夢中。その淑子には佃(北川恵一)という倹約家でじじむさい男がついていて...というあらすじだ。仕事に恋に、と現代にも通じる複雑な人間関係が描かれている。
そんな本作は、美空が歌う主題歌から幕が上がる。劇中でもミュージカル映画のように歌う場面があり、美空が桂子の胸中を"感情をこめて歌う"のが特徴だ。スクリーンから流れる彼女の歌声は、単なる劇中歌の枠を超え、登場人物の心情を鮮明に写し出す――。
なぜ美空の歌声は昭和を生きる人々の心に刺さり、今も多くの人の心に残り続けるのか。それは、昭和の人々の喜怒哀楽を歌で表現し、包容力のある声で人々を優しく包み込むからではないだろうか。だからこそ、今も人々の明日への希望となっているのだろう。
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一方、高倉演じる石岡は、ぶっきらぼうながらも芯が強く、どこか憎めないキャラクターだ。石岡と桂子の関係性がどのように紡がれるのかはもちろん、当時から異彩を放っていた高倉の"圧倒的な存在感"が、物語に深い奥行きを与えている点にも注目したい。
高倉はのちに映画「幸福の黄色いハンカチ」(1977年)、「鉄道員(ぽっぽや)」(1999年)など、多くの名作に出演してきたスターである。本作では、"飛躍前夜"の高倉のエネルギーに満ちた演技を堪能できるのも見どころなのだ。
また、高倉は俳優業だけでなく、歌手としても活動していたのは有名な話。本作でも高倉の歌声が聴けるので、いつどんなシーンで楽しめるのか、探してみるのもよいだろう。
文=浜瀬将樹
放送情報【スカパー!】
「娘の中の娘」
放送日時:2026年6月5日(金) 20:00~ほか
チャンネル:東映チャンネル(スカパー!)
※放送スケジュールは変更になる場合がございます
出演:美空ひばり、高倉健ほか
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