舘ひろしの"可愛さ"が弾けた「パパとムスメの7日間(2007)」 新垣結衣との共演で見せた異色の名演
舘ひろしが新垣結衣と共演したドラマ「パパとムスメの7日間(2007)」が、ファミリー劇場で初放送される。
五十嵐貴久の同名小説を原作にした本作は、サラリーマンの父・川原恭一郎と、高校生の娘・小梅が、ある事故をきっかけに人格だけ入れ替わってしまうハートウォーミングなホームドラマ。舘が恭一郎を、新垣が小梅を演じた。放送当時は新垣の瑞々しい魅力が大きな注目を浴びた作品でもあるが、改めて見返すと、舘ひろしの振り切った芝居に強く心を掴まれる。
舘といえば、「あぶない刑事」シリーズなどで見せてきたクールでダンディな佇まいの印象が強い。低く響く声、余裕のある身のこなし、スーツやサングラスの似合う大人の男。6月19日(金)公開の主演映画「免許返納!?」でも、そうしたスター像を背負った舘がどのようにコメディへ振り切るのかが見どころになりそうだ。
だが、舘の魅力はかっこよさだけに収まらない。ふとした瞬間にこぼれる可愛らしさ、かっこよさが少し揺らいだ時ににじむチャーミングさ。その魅力が表れていた作品の一つが、「パパとムスメの7日間(2007)」だった。
(C)TBS (C)五十嵐貴久/朝日新聞社
舘が演じた恭一郎は、見た目こそ父親のままだが、中身は女子高生の小梅になっている。普通なら、大げさな仕草や口調で笑わせる方向に振り切ってもおかしくない役だ。だが舘は、小梅の明るさや戸惑いを、あくまで自然な感情として演じている。父親の身体になってしまったことへの焦り、学校で友人たちと接する時のぎこちなさ、好きな相手を前にした時の浮き立つ気持ち。その一つひとつが、舘ひろしの表情や動きからしっかり伝わってくる。
だからこそ、恭一郎の姿をした小梅は、見ていて思わず笑ってしまうのに、どこか愛らしい。驚いた時に目を丸くする表情、友人たちと話す時についテンションが上がる様子、好きな相手を前にして落ち着かなくなる仕草。見た目は父親そのものなのに、表情や反応にはちゃんと高校生の小梅がいる。舘の落ち着いた佇まいと、小梅の素直な感情の動きのギャップが笑いを生み、本作ならではの可愛らしさにもつながっていた。
(C)TBS (C)五十嵐貴久/朝日新聞社
特に印象的なのは、舘がこの異色の役柄を照れずに演じ切っていることだ。大人の男性が女子高生の内面を演じるとなると、芝居が過剰になることもあるだろう。語尾や仕草を強調すれば、わかりやすくはなるが、人物の実感は薄くなる。だが「パパとムスメの7日間(2007)」の舘は、小梅を外側からなぞるのではなく、身体だけが変わってしまった一人の少女として演じていた。だからこそ、笑える場面の奥に、小梅本人の困惑や必死さがちゃんと残っているのだ。
新垣との掛け合いも、本作の大きな魅力だった。たとえば、健太先輩とのデートをめぐる場面。小梅の姿になった恭一郎は、父親としての心配を隠しきれず、どこかぎこちない態度で健太と向き合う。一方、恭一郎の姿になった小梅は、自分の大事なデートを父に任せきれず、落ち着かない様子で後を追う。見た目は新垣結衣なのに中身は父親、見た目は舘ひろしなのに中身は娘。その入れ替わりならではのズレが、2人の表情やテンポのいいやり取りから伝わってくる。舘の可愛らしさと、新垣の不器用な父親ぶりが並ぶことで、笑いだけでなく親子の距離の近さも見えてくるのだ。
「パパとムスメの7日間(2007)」は、舘ひろしの出演作の中でもかなり異色の作品と言えるだろう。クールでダンディな佇まいを印象づけてきた舘が、本作ではかっこよさを守るのではなく、戸惑い、慌て、時に情けない姿まで見せている。スターとしての存在感を保ちながら、人間味や可愛らしさまでにじませていることが、この作品における舘ひろしの大きな魅力になっている。
ダンディで渋い舘が、娘と入れ替わってしまった父親を全力で演じる。その姿は、今見ても新鮮で、思わず笑ってしまう可愛らしさがある。「免許返納!?」で再びコメディに挑む舘ひろしを観る前に、「パパとムスメの7日間(2007)」で彼が見せた異色の名演を振り返っておきたい。ファミリー劇場での初放送は、舘の意外な魅力に改めて触れられる貴重な機会になるだろう。
文=川崎龍也
放送情報【スカパー!】
「パパとムスメの7日間(2007)」
放送日時:2026年6月20日(土) 12:15~
チャンネル:ファミリー劇場(スカパー!)
※放送スケジュールは変更になる場合がございます
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