エンタメづくりからひも解く小池徹平の"俳優としての矜持"「ラクはするけど、手抜きはしない」【スカパー!30周年】
「好き」の気持ちを深く掘り下げ、新たな「好き」と出会うきっかけを届ける不定期インタビュー企画。今回は、ドラマや舞台で圧倒的な存在感を示す俳優・小池徹平が登場する。
テーマは彼を突き動かす「エンターテインメント」。じっくりと言葉を紡ぐ彼から見えてきたのは、表現者として、人として、そして父として――。多面的な魅力を持つ、小池徹平の"現在地"だった。

――好きなエンタメについて教えてください
「何年もやらせてもらっていますが、やはり自分が携わっている映像作品や舞台は変わらず好きですね。もちろん仕事との向き合い方は変わっていますが、根本的な『楽しいな』、『好きだな』という気持ちは変わっていない。がむしゃらに頑張る時期はとっくに過ぎているので、年相応に楽しめていると思います」
――そんな映画やドラマの原体験を覚えていらっしゃいますか?
「毎週金曜日は家族そろって『金曜ロードショー』を見ていたのを覚えています。『E.T.』、『ロボコップ』、『ジュラシック・パーク』、スタジオジブリ作品...毎週めっちゃ楽しみでしたね。大阪出身なので、『吉本新喜劇』などのお笑いも楽しんでいましたが、印象に残っているエンタメといえば『テレビで見る映画』です。
アニメ映画は別として、映画館に洋画を見に行くって少し大人になってからだと思うんです。だからこそ、テレビで見る映画は"家で見るからこその特別感"を感じる。毎週、スペシャルな世界を味わっていたような感覚でした」
――続いて、エンタメ時間の楽しみ方について教えてください。小池さんは映画やドラマなどは「1人で見る派」、「みんなでワイワイ派」どちらですか?
「どちらも好きですけど、結局本当に好きな作品って1人で見るじゃないですか。移動中が唯一の1人時間なので、そうした時間を使って映画などを見ています。
共有する場合で言うと、今は家族がいるので、子ども向けの作品を一緒に見ることが多いです。そういった作品って、自分で見ようと思って見るものではないので、『子どもにこれはどうだろう?』と選んだり、『パパが昔見ていたものだよ』とおすすめしたり、そういった楽しみもありますよね」

――子ども向けの作品とはいえ、真剣に見ていると、新たな発見がありそうですね
「そうなんです。僕たちが子どものときに見ていた『ドラえもん』や『アンパンマン』など、大人になって触れると、見え方が変わってくるんですよね。子どものときは、主人公たちを中心に見ますが、今はどちらかというとお父さんやお母さんを見てしまいます。
たとえば、親とけんかをした主人公が、旅先で別の親子の衝突と和解を目の当たりにする......という定番の展開がありますよね。その親子がやがて仲直りする姿を見て、主人公は自分を省み、家に帰って両親にきちんと謝るんです。親としては、けんかをしても子どもへの愛は変わりませんし、いちいち根に持っているわけでもありません。しかし、子どもが自分なりに深く考えて謝れるほどに成長する姿を見ると、自分の子どもに重ねて感慨深くなってしまいます」
――ご覧になった作品、ご自身が出演した作品でもかまいません。「人生に影響を与えた作品」について教えてください
「自分の出演作で転機になったのは、松尾スズキさん演出、大人計画さんの舞台『キレイ〜神様と待ち合わせした女〜』です。大人計画さんって、グロテスクなところまでえぐってくる演出やセリフが多いじゃないですか。演者の方々も奇抜なお芝居をされる方が多く、刺激を受けたのを覚えていますね」
――特にどんなところに刺激を受けたんですか?
「稽古中に『小池くん、皆川(猿時)くんのふくらはぎ噛んで』と言われました」

――(笑)
「そのあとも『ふくらはぎを噛む前に"生ハム"って言って』みたいな。そうしたストーリーにまったく関係ないセリフや演出を受けたときに、『劇団の中に混ざってお芝居をさせてもらっているな!』と実感が湧きました。ものすごく楽しくて、ずっと印象に残っています」
――その体験以降、ご自身で演技の幅が広がった実感はありますか?
「そうですね。すごい方々ばかりだったので、自分の中で自然と吸収していたと思うし、『あの方々と一緒にやったんだ』と自信にもなりました。『キレイ』出演後は『この作品に出られた。よし、じゃあ次ももっとがんばろう!』と、箔がついたと思います」
――「俳優としてのエンタメの作り方」についてお聞きします。演技をするうえで、最初に固める軸はどこになりますか?
「自分が演じるキャラクターがどんな人物なのか、人間性をプロファイリングするところから始めますね。原作があったら原作のイメージから突き詰めていくこともありますが、オリジナル作品は自由なので、セリフのちょっとした言い回しからヒントを得ることが多いです。そうした基礎作業は大事にしていますね」

――ご自身とかけ離れている役もあると思います。そうした場合、演じるのは苦しいものなのでしょうか?
「たとえば、大きな犯罪を起こす役だった場合、そんなことはしたことがないので、なぜ犯罪をしたのか、どうしてそこに至ってしまったのか。キャラクターが抱えていたもの、背負っていたものを紐解いていくと、その人物像が見えてくるのかなと思います。知らない感情を無理やり作るのは、自分の中で嘘になっちゃうんですよ。だから、自分の人生経験に近しい気持ちや体験を重ねてアプローチしていきますね。
正解や不正解はないですが、『こう演じたらこう見えるだろう』ということはあまりやらないですね」
――小池さんが表現するエンタメを楽しみにされている方も多いと思います。小池さんにとってファンはどんな存在ですか?
「自分の中で"ファミリー感"みたいなものを感じていますね。ファンクラブ配信をはじめ、ファンの方に向けた活動もやらせてもらっていますが、いざ触れ合うとみんなめっちゃ優しいんです。昔は『かっこいい姿だけを見せなきゃいけない』と思っていたけど、今はそれを取っ払って、自分らしさをさらけ出しているし、
ファンの皆さんは"自分をさらけ出せる存在"になっていますね。『こういうことあって大変だったんだよね』『みんながいるから頑張れるわ』と言えたり、ファンの方から『疲れた』と聞いたら『今度舞台やるからまた見に来て元気になってよ』と言えたり、お互いを支え合えている。そうしたやりとりがたくさんできるのはありがたいですね」

――今後もエンタメを作る表現者として、大切にしたいことを教えてください
「性格的に、任されたものに対しては責任を持って全うしたいと思っています。『自分だけ良ければいい』ではなく、カンパニー全体、作品全体が良くなればいいという気持ちでやっているので、そこはこれからも大事にしていきたいですね。その中で、ラクはするけど、手抜きはしない。これからも、俯瞰で自分を見ながら、いい力の抜け具合で、やることはしっかりやろうという気持ちでいます」
取材・文=浜瀬将樹 写真=内田大介
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