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上川隆也が人気シリーズ「遺留捜査」とは違ったタイプの刑事を演じる「連続ドラマW 真犯人」

2022/11/01

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23年にもわたり愛されてきた人気シリーズ「遺留捜査」の主役を務めてきた上川隆也。上川がマイペースで飄々としていてちょっと変わった刑事・糸村とは全く違うタイプの刑事を演じたのが主演ドラマ「連続ドラマW 真犯人」だ。

「連続ドラマW 真犯人」
「連続ドラマW 真犯人」

©翔田寛/小学館 ©2018 WOWOW INC.

原作は翔田寛の同名小説で、昭和49年と平成20年に起きた殺人事件の真相に長い時間をかけて迫っていく硬派なクライムサスペンス。上川はノンキャリアでたたき上げの刑事、重藤を演じている。昭和49年に起きた幼児誘拐殺人事件に関わるも犯人を挙げられず、重藤は時効が間近に迫った昭和63年に立ち上げられた"特別捜査班"のトップとして部下たちを率いて再び難事件の捜査に挑むが、あと一歩というところで捜査班は解散する。しかし、平成20年に幼児の父親と当時の犯人の関わりがあった場所の1つ、静岡県の裾野市で遺体となって見つかったことで、担当刑事の日下(小泉孝太郎)は不審に思い、すでに引退している重藤のもとを訪ねる。上川は本作で20代、40代、60代の役を演じ分け、月日を重ねた男の重厚な演技を見せる。事件を追うことによって世代を超えて繋がる上川と小泉の共演も見どころとなっている。

■謎だらけの幼児誘拐殺人事件を追う刑事たちの執念

物語は平成と昭和が交錯する形で展開していく。当時、5才の男児が誘拐され、犯人は身代金を電話で要求。裾野市のバス停、富士市中里のバス停、朝霧高原のドライブインと3箇所が受け渡しの場所として指定されたが、そのどこにも犯人は姿をあらわさず、やがて男児はなぜか多摩川で遺体となって発見された。7歳だった姉の理恵(内田有紀)はなぜか当時の弟の記憶がないと多くを語らず、重藤を戸惑わせる。印象的なのは"特別捜査班"のトップとして部下たちと真犯人の捜査に当たる40代の重藤だ。時に先走ろうとする部下を制止しながらも全員の士気を上げる役割を果たし、責任は俺がとると明言する。最初から世間に向けた形だけの捜査としか考えていない上司(高嶋政伸)の邪魔も入り、捜査班は解散させられることになるが、地道な聞き取り捜査と鋭い勘で真相に近づいていた先輩であり部下の辰川(でんでん)を守るため、降りしきる雨の中、血の滲むような努力をなぜわからないのか?と高嶋に食ってかかる上川の熱い演技は冷静な刑事役だけに胸を打つ。辰川の信念「刑事は本当の犯人を見つけるまで肩の荷を下ろすことなんてできない」は、責任をとって警察をやめた重藤の頭から離れることはなかった。

■平成の刑事・小泉が、昭和の刑事・上川を動かす

殺された男児の父親が何者かに殺害されたことによって日下(小泉)は、34年前の事件がまだ終わっていないと確信し、重藤の家を訪ねるが、引退している重藤は協力してほしいという日下の申し出を頑なに断る。しかし、妻に若い頃の自分に似ていると言われ、平成の刑事の熱意に徐々に動かされていく。60代になった重藤を上川は見事に表現。辰川の無念や事件を背負って生きてきたことを物語る佇まい、重みを増した発言がズシンと胸に響いてくる。親子ほど年齢が違う日下とバディを組んで、一家に起きた出来事の真相を解き明かしていく後半まで見応えたっぷり。泥くさい刑事と言われた重藤の洞察力と人間に対する愛情にも唸らされる。

文=山本弘子

放送情報【スカパー!】

連続ドラマW 真犯人
放送日時:2022年11月12日(土)21:10~
チャンネル:ファミリー劇場
※放送スケジュールは変更になる場合があります

詳しくは
こちら

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