高橋文哉と津田健次郎、『最愛』で再注目される助演の魅力 優と山尾に宿った繊細さと静かな圧
ドラマ「最愛」が、6月27日(土)にファミリー劇場で放送される。2021年10月期にTBS系で放送された本作は、殺人事件の重要参考人となった実業家・真田梨央(吉高由里子)、彼女の初恋の相手であり事件を追う刑事・宮崎大輝(松下洸平)、梨央を支える弁護士・加瀬賢一郎(井浦新)を中心に描くサスペンスラブストーリーだ。
放送当時は、吉高と松下が演じる梨央と大輝の切ない関係性や、井浦演じる加瀬の静かな献身、宇多田ヒカルによる主題歌「君に夢中」も大きな話題を集めた。これまで本作は、梨央と大輝のラブストーリーとして語られることも多かったが、見返してみると、物語を支える助演陣の存在感もやはり大きい。中でも今回は、朝宮優を演じた高橋文哉と、警視庁捜査第一係長・山尾敦を演じた津田健次郎に注目したい。
(C)TBSスパークル/TBS
「仮面ライダーゼロワン」で主演を務め、若手俳優として注目を浴びていた高橋が本作で演じたのは、梨央の弟・朝宮優。物語の序盤では"情報屋"として登場し、素性の見えないミステリアスな存在として視聴者の前に現れる。だが、梨央の弟であることが明かされると、優の印象は大きく変わる。家族と離れて過ごした時間、記憶への不安、そして自分の存在が梨央の人生に影を落としてしまうことへの苦しさ。高橋は、そうした優の複雑な思いを、あどけなさを残した表情と繊細な芝居で見せていた。
高橋の演技で印象的だったのは、優の弱さと芯の強さを同時に見せていたことだ。特に梨央と再会する場面では、ようやく姉に会えた安堵と、離れていた時間の重さが同時に伝わってくる。姉をまっすぐに思う一方で、過去に向き合う怖さも抱えている。助けを求めたい気持ちをにじませながら、自分で背負おうとする危うさもある。高橋はそんな優の揺れを、視線や声の震え、ふとした沈黙で丁寧に伝えていた。
その後の高橋は、ドラマ「君の花になる」、映画「交換ウソ日記」「ブルーピリオド」などで主演・主要キャストを務め、着実に出演作を重ねてきた。ラブストーリーの爽やかさ、青春群像劇で見せる熱量、繊細な役柄での表情の細やかさなど、作品ごとに違う魅力を見せている。近年はNHK連続テレビ小説「あんぱん」にも出演し、俳優としてさらに幅広い層へ存在感を届けている。そうした現在の活躍を踏まえて「最愛」を見返すと、優という役が、高橋の演技の幅を早い段階で示していたことがあらためて分かる。
(C)TBSスパークル/TBS
一方、津田にとっても、「最愛」は実写俳優としての存在感を広く印象づけた作品だった。津田といえば、まず声優としてのキャリアを思い浮かべる人も多いだろう。低く響く声、独特の間、言葉ににじむ緊張感。その表現力は、アニメや吹替、ナレーションなど、さまざまな場で強い印象を残してきた。声優としての表現力を生かしながら、ドラマや映画でも重要な役どころを担い、今では俳優としても作品に自然な存在感を添えている。今年1月期のドラマ「ラムネモンキー」で主演を務めたことも、そうした歩みの延長にある。声の魅力はもちろん、画面にいるだけで空気を変えられること。それが、津田健次郎が実写作品でも求められ続ける理由なのだと思う。
そんな津田の魅力が、実写の画面の中で強く伝わったのが、山尾敦役だった。山尾は、警視庁捜査第一係長として刑事たちをまとめる人物。物語の中心に立つ役ではないが、登場するだけで捜査現場の空気が引き締まる。指示を出す声の重みはもちろん、部下を見る鋭い目線や、感情を簡単に表に出さない立ち姿にも説得力があった。
津田の芝居には、言葉にしすぎないからこそ伝わるものがある。山尾は派手に感情を動かすキャラクターではないが、画面にいるだけで捜査現場の空気が変わる。短いセリフの重み、言葉を発する前の間、視線の動かし方。表情を大きく崩さずに感情をにじませる芝居からは、声優として培ってきた表現力と、実写俳優としての存在感の両方が感じられた。
「最愛」は、梨央と大輝のラブストーリーとしても、事件の真相を追うサスペンスとしても、そして大切な人を守ろうとする家族の物語としても見応えがある作品だ。放送当時に夢中で見ていた人はもちろん、近年の高橋や津田の活躍をきっかけに興味を持った人にとっても、今あらためて触れる価値がある。6月27日(土)のファミリー劇場での放送では、物語の中心にいる吉高由里子、松下洸平、井浦新の芝居に加えて、作品を支える助演陣の表情にも注目したい。高橋と津田が「最愛」の中でどんな存在感を残していたのかを確かめながら、この名作をもう一度味わってほしい。
文=川崎龍也
放送情報【スカパー!】
「最愛」
放送日時:2026年6月27日(土) 12:15~
チャンネル:ファミリー劇場(スカパー!)
※放送スケジュールは変更になる場合がございます
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