「リング」からつながる呪いに阿鼻叫喚!佐藤浩市が魅せた歪(いびつ)な"反転劇"と、"透明感"で魅了する中谷美紀に息をのむ映画「らせん」
1998年1月31日、日本の映画界に鮮烈な記憶を刻む2本の作品が同時公開された。鈴木光司の小説を原作とした映画「リング」と「らせん」だ。
同じ世界観の2作を同時に公開し、両方を観ることでひとつのストーリーが完成する"デュアル・ムービー"手法を取り入れた本作。その爆発的なヒットと画期的な取り組みは、その後のホラー・オカルトジャンルの様相を一変させたと言っても過言ではない。
「リング」が、一本のビデオテープをもとにした「呪いの伝播」の物語ならば、その真の解答編であり、人々の脳内に強烈なインパクトを与えたのが「らせん」である。
医師の安藤(佐藤浩市)のもとに、突然死したある男の遺体が運び込まれる。解剖していると、男の胃の中に数字の羅列が書かれた紙切れを発見する。安藤は男の恋人だという舞(中谷美紀)と共に、死体に残された謎に挑もうとするが...。
目を覆いたくなる凄惨なシーンや、圧倒的な緊迫感で畳みかける「らせん」。何より、本作の真骨頂は、安藤たちが「呪い」を医学や科学の視点で解き明かそうとするプロセスにある。呪いはなぜ連鎖するのか。徐々に明らかになる驚愕の真相に、誰もが言葉を失うはずだ。
©1998「リング」「らせん」製作委員会
そんな本作を引き締めているのが、主要キャストの佐藤浩市と中谷美紀の圧倒的な演技力であろう。
医師の安藤は、ある出来事をきっかけに深いトラウマを抱え、常に悲壮感を漂わせている役どころ。自らこの世を去ろうとしたほど追い込まれていた彼が、不可解な現象に直面し、謎にのめり込んでいく姿は「生」そのものを感じさせる。皮肉なものだ。
安藤という役は、一歩間違えれば、「不可解な出来事を受け止めるだけのリアクター」に終始し、佐藤が演じる意義が薄れるリスクをはらんでいる。だが、本作を観れば、きっと「安藤は佐藤浩市でなければならなかった」と確信することだろう。生きる意味を失っていた男が、死の淵から引きずり戻されるように謎の核心へ足を踏み入れていく――佐藤は、その歪な反転劇に確かな説得力を与えているのだ。
©1998「リング」「らせん」製作委員会
一方、舞を演じた中谷の持つ透明感と、触れるとひびが入りそうな氷の瞳は、作品の世界観を決定づける欠かせない要素である。
感情の起伏を抑えた物静かな役柄でありながら、観る者の心を捉えて離さないのは、中谷の魅力があってこそ。削ぎ落とされた佇まいから自然とあふれ出る演技が、作品全体に深い余韻を残している。彼女には「美しさ」だけでは説明しきれない吸引力があるのだ。
「リング」で提示された恐怖は、「らせん」の世界でもまた感染していく。そのなかで魅せるふたりの存在感こそが、本作に根づく異質さを際立たせているのだろう。
文=浜瀬将樹
放送情報【スカパー!】
映画「らせん」
放送日時:2026年8月25日(火)21:00~
チャンネル:映画・チャンネルNECO(スカパー!)
※放送スケジュールは変更になる場合がございます
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