悟空にベジータ、フリーザたちの活躍から目が離せない!
バトルの中に笑いの要素もある「ドラゴンボール」の面白さ
2023/04/03 公開
様々なアニメ作品に精通しているハライチの岩井勇気さんが「大人にこそ観てほしいアニメ作品」を紹介するこの企画。第8回は鳥山明の国民的人気漫画を原作とする映画「ドラゴンボール」シリーズで、スカパー!では『ドラゴンボールZ 神と神』(2013年)と『ドラゴンボールZ 復活の「F」』(2015年)、『ドラゴンボール超 ブロリー』(2018年)、『ドラゴンボール超 スーパーヒーロー』(2022年)の4本を特集放送。今回はこの中から『復活の「F」』と『ブロリー』の2本について、岩井さん視点でそれぞれの面白さを語ってもらった。
悟空たちの愛すべき宿敵、フリーザの憎めない魅力
『復活の「F」』の面白さは、孫悟空(声:野沢雅子)たちの宿敵であるフリーザ(声:中尾隆聖)に感情移入できるところだと思います。「ドラゴンボール」に初登場した時のフリーザは恐怖の対象でしたが、本作では「頑張れ、フリーザ!」とつい応援したくなってしまうんです(笑)。
初登場時からですが、いい意味でフリーザはちょっと甘いところがあるんですよね。ベジータ(声:堀川りょう)に簡単にドラゴンボールを盗まれたり、逆上して放った自分の技で胴体が真っ二つになったりする。そんな詰めの甘さがフリーザの愛嬌であり、『復活の「F」』ではその愛嬌を感じられるシーンがたくさんあるんです。
例えば、ゴールデンフリーザになれたことで浮かれて、なんの準備もせずに悟空たちに戦いを挑んでしまうとか。もともとフリーザのもとで働いていたベジータに対して、未だに忠誠心があると思い込んでいるとか(笑)。なので、「悟空が主人公の映画」ではなく、「フリーザが主人公の映画」として観てしまうところがあります。フリーザが悟空たちに挑んでいる姿に、「もっと頑張れ、フリーザ!お前ならもっと強くなれるはずだ!」と応援してしまいたくなります。幼少期から「ドラゴンボール」を見てきた僕としては、敵側に感情移入できることに新鮮さを覚えました。
一方、『ブロリー』は懐かしさを感じる作品です。とんでもない脅威が悟空たちの前に現れる、という昔ながらの展開はもちろん、「ドラゴンボール」シリーズを観てきた人にはテンションが上がるシーンがたくさんあるのがこの作品です。
ブロリー(声:島田敏)が登場する劇場版はいくつかありますが、「ドラゴンボール超」版のブロリーの力任せな戦い方、緑色のエネルギー弾など、「これこそがブロリーだ!」と思わされました。ほかにも、劇中で悟空とベジータのフュージョンが上手くいかない時に、ガリガリの状態になったり太った状態になったりするシーンや、ソウルパニッシャーという七色に光り輝くエネルギー弾は『ドラゴンボールZ 復活のフュージョン!!悟空とベジータ』(1995年)からのオマージュを感じさせられます。
強敵を前にワクワクする悟空と実はボケキャラのベジータ
そして、『ブロリー』では悟空が「楽しそう」という印象があるんですよね。僕の中では悟空って何を考えているかイマイチ掴めないキャラクターなのですが、ブロリーという強敵を目の前にした時、かなり苦戦を強いられながらも楽しそうに戦っている印象を受けました。
そもそも原作漫画の最終回では、悟空は最強の状態で、魔人ブーの生まれ変わりであるウーブを強敵になるように育てるところで話が終わってしまいます。そこに少し虚しさを感じていたんですよ。なので、「ドラゴンボール超」シリーズになって、破壊神ビルス(声:山寺宏一)やウイス(声:森田成一)といった強敵が現れ、楽しそうに戦っている悟空に「悟空が楽しめる世界になったんだな…」と少し胸を撫で下ろす気持ちがありました。『ブロリー』でも同様に、悟空の楽しそうに戦う姿がすごく印象に残っています。
ちなみに僕は、「ドラゴンボール」シリーズではベジータが好きなのですが、『復活の「F」』も『ブロリー』も、ベジータのかわいらしさが描かれているのが好きなポイントです。まず『復活の「F」』では、ベジータがスーパーサイヤ人になった時に自信満々で放つ「そうか、貴様は知らなかったな。俺様もなれるんだよ、伝説のスーパーサイヤ人にな」というセリフが、ベジータらしさを感じて好きです(笑)。人造人間19号とドクター・ゲロの前で、ベジータがスーパーサイヤ人になった時を彷彿とさせるシーンだと思いました。「自分の活躍を見てほしい」という意思が表れているようでかわいいんです。
また『ブロリー』では、窮地に立たされてピッコロ(声:古川登志夫)のところへ瞬間移動する時に悟空と手をつなぐのですが、移動後に手をつないだことに対して嫌そうな顔をしているベジータにグッときますね。そのあと、悟空とフュージョンするのを嫌がっているのに、結局フュージョンしちゃうところもいい。ベジータが「あんな変なポーズするくらいなら死んだほうがマシだ!」と言うシーンは、『復活のフュージョン!!悟空とベジータ』でも同じようなシーンがあり、その時の懐かしさも感じて印象的です。
鳥山明先生はもともとギャグ漫画出身ということもあり、強敵との戦いでもキャラクターたちがボケたりギャグを言ったりするシーンが多分にあります。しかもツッコミが不在(笑)。特に、ベジータはボケるシーンが多く、ボケたらボケ切らしているキャラクターの一人でもあります。シリアスな緊張の中に、笑いという緩和があるのは「ドラゴンボール」の面白いところ。『復活の「F」』と『ブロリー』もまた、そういったシーンがたくさん描かれているのが魅力だと思います。
取材・文=阿部裕華
岩井勇気●1986年生まれ。幼稚園からの幼なじみである澤部佑とのお笑いコンビ「ハライチ」として活躍。初のエッセイ集「僕の人生には事件が起きない」が22刷重版中。放送されるアニメ作品はすべてチェックし、テレビ朝日で放送中の「岩井&花澤 まんが未知」など、漫画やアニメに関する番組でもMCを務める。
<放送情報>
ドラゴンボール超 スーパーヒーロー
放送日時:2023年4月16日(日)11:00~、21日(金)17:15~
ドラゴンボールZ 神と神
放送日時:2023年4月25日(火)12:00~
ドラゴンボール超 ブロリー
放送日時:2023年4月25日(火)13:30~
ドラゴンボールZ 復活の「F」
放送日時:2023年4月25日(火)15:15~
チャンネル:WOWOWプライム
ドラゴンボールZ 神と神
放送日時:2023年4月15日(土)15:00~
ドラゴンボールZ 復活の「F」
放送日時:2023年4月15日(土)16:30~
ドラゴンボール超 ブロリー
放送日時:2023年4月15日(土)18:15~
ドラゴンボール超 スーパーヒーロー
放送日時:2023年4月15日(土)20:00~、23日(日)18:45~
チャンネル:WOWOWシネマ
※放送スケジュールは変更になる場合があります
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