「蒲田行進曲」特別番組のために集まってくれた風間杜夫、松坂慶子、平田満

松坂慶子、風間杜夫、平田満が語る「蒲田行進曲」の思い出
「それ以前になかった作品だし、それ以後もないと言えるぐらいの作品です」

2023/02/27 公開

脚本・つかこうへい、監督・深作欣二による映画「蒲田行進曲」(1982年)。撮影所を舞台に、スターと大部屋俳優の奇妙な友情、その二人の間で揺れ動く女優の姿を描いた作品で、つか作品の舞台に多く出演していた風間杜夫と平田満が抜擢され、二人にとっての出世作となった。前年公開された「青春の門」で好演した松坂慶子が出演するということも大きな話題に。公開から40年以上経つ今も、伝説の作品として多くの人に愛されている。今回、「蒲田行進曲」の放送に合わせて、作品についての思い出を語り合う特別番組「小夏×銀ちゃん×ヤスの同窓会“蒲田行進曲〜キネマの都〜」の収録が行われた。その番組の収録直後に松坂慶子、風間杜夫、平田満の3人に話を聞かせてもらった。

つかこうへいの舞台劇を深作欣二監督で映画化した「蒲田行進曲」

松坂慶子、風間杜夫、平田満の3人による特別トーク番組「小夏×銀ちゃん×ヤスの同窓会“蒲田行進曲〜キネマの都〜」

「ヤス、上がってこい!」と言ってる時の涙は、本当は汗なんです

――映画「蒲田行進曲」の銀ちゃん、小夏、ヤスが集まってのトーク番組の収録が終了しました。

風間杜夫:去年の3月にも共演しているんですけど、でもやっぱりお二方と会えるのは嬉しいですし、大好きな「蒲田行進曲」を語れることにワクワクしました。

松坂慶子:風間さんと平田さんのお話はいつも味わい深くて面白いので、今回もまたいろんなお話が聞けるんだろうなぁって楽しみにしていました。

平田満:40年も経って、このような企画があるのも嬉しいですね。またお会いできるのが楽しみでした。

――松坂さんはお二人とこの作品で初めての共演でしたが、その時の印象は?

松坂:テンションが高くて清濁合わせ持った見たことのないすごい舞台をされてる人たちなのに、早稲田を出たインテリで。

平田:二人とも中退なので出てないですから(笑)。

松坂:静と動の振り幅がすごいなって思いました。

「お二人の話を聞けるのが楽しみ」と語る松坂慶子

平田:こういう言い方はあれかもしれませんけど、僕ら舞台で活動していた役者にとって松坂さんは雲の上の方でしたから、こっちから話しかけるなんて、今でいうセクハラじゃないですけど、いけないことなんじゃないかって。松坂さんは近眼なので目ざとく見つけられる方じゃないですし(笑)。でも、40年経ってもこういうふうにお話ができるとは思ってなかったので本当、嬉しいです。

風間:今でもすごく覚えていることがあって、ヤスのボロアパートでのシーンの撮影で、松坂さんが平田くんの足を見て、「平田さんってキレイな足してらっしゃるわね。足の指も長くて」って褒めてたんです。

松坂:あ、言ったかもしれない(笑)。

風間:正直、「平田、足褒められてる。うらやましい!」って思ってました(笑)。

――撮影時の印象に残っていることとか思い出も聞かせてください。

松坂:撮影の時、真夏だったんです。もう暑くて暑くて(笑)。

風間:そうそう。最後の39段の階段落ちのシーンで、小夏が撮影所を訪ねてくるんですけど雪降ってるんですよね。8月ですよ! 塩をまいたり、綿とかでよく寒々とした雪景色を作れましたよね。

松坂:そうなのよ。衣装も冬物で(笑)。

風間:その池田屋での階段落ちのシーンも大変でした。作品を見てもらえると分かるんですけど、たくさん火を焚いているので、上の方はサウナ状態ですよ。「ヤス、上がってこい!」って言ってる時の涙は、本当は汗なんです(笑)。

「『蒲田行進曲』のことを話せることにワクワクしています」と語る風間杜夫

ラッシュを見た時、映画界に新しい風が起こる感じがしました

――そんな過酷な撮影シーンもあった「蒲田行進曲」のクランクアップした時の気持ちは?

風間:「終わって良かった! 早く東京に帰ろう!」って感じでした(笑)。良い映画になるとは思っていましたけど、ただ、いろんなプレッシャーもありましたので、撮影が終わって寂しいとかよりも、「あぁ、東京に帰れる」っていうホッとした気持ちの方が大きかったですね。

平田:僕もホッとしました。撮影期間は1ヶ月半ぐらいだったかな? その間ずっと京都にいたんです。「出し尽くしたな」っていう感覚があって、それは監督とか共演者の方に出させていただいたんですけど、そういう充実感もありました。

松坂:私は「帰るのがさみしいな」って思ってたと思います。「青春の門」で京都の撮影所に入った時は先生だらけで怖いというか、すごく緊張してましたけど、「蒲田行進曲」はそのすぐ後だったこともあって、それほど緊張はなかったですね。

「40年も経ってこんな企画があるのは嬉しいです」と語る平田満

――風間さんが、先ほど収録された番組の中で「人生が変わるぐらいの作品になった」とおっしゃってましたが、松坂さんにとっても大切な作品に。

松坂:はい。撮影が始まって2週間くらい経った時に、それまでに撮影したものをまとめたラッシュというのを観せてもらったんですけど、その時すでに映画界に新しい風が起こる感じがしました。

風間:完成後の試写で、角川春樹さんが「役者の熱気が初めてフィルムに焼き付けられた」という感想をおっしゃったんです。それぐらい画期的だったんでしょうね。僕と平田くんは監督に「舞台通りにやってくれ」って言われて、デカい声でセリフを言ってたら録音部さんの針が振り切れちゃって、「こんなデカい声で喋る役者、初めてだよ」って言われました(笑)。

松坂:深作監督が「熱気というのは10出しても7くらいしか伝わらないことがある」っておっしゃってたんですけど、角川さんがそう感じたのなら、ちゃんと10伝わったんでしょうね。

平田:僕にとっても大切な作品というか、空前絶後ですね。それ以前になかった作品だし、それ以後もないと言えるぐらいの作品です。人の思いも含めて、いろんなものが詰まってる感じがします。

松坂:改めて「蒲田行進曲」を見て、「その後の私が全部入っている」って思いました。キレイな楚々としたした女優さんの様子は入ってないんですけど(笑)、大河ドラマの「篤姫」で演じた幾島のような強さも入っていたり。前半は映画女優さんらしいキレイな撮り方をしていただいて、後半は平凡で普通だけど、地に足をつけて小さな幸せを見つけるんだろうという人を演じることができて、たくさん引き出してもらえたなって思います。

風間:「蒲田行進曲」は撮影所という、言ってみれば閉鎖された社会の中の人間模様を描いた作品ですが、そこで起きていることは普遍性があると思うんです。一般社会の中にも銀ちゃんみたいな人間がいて、ヤスみたいな人間もいる。なぜ“蒲田”が語り継がれているかというと、その普遍性があるからだと思いますね。ぜひ放送を見て楽しんでもらいたいと思います。

取材・文=田中隆信/撮影=宮田浩史 ©松竹ブロードキャスティング

衣装(松坂慶子)=パールネックレス/CASUCA/参考商品
ネックレス/DE BEERS FOREVERMARK/275,000
イヤリング/DE BEERS FOREVERMARK/参考商品

<放送情報>
蒲田行進曲
放送日時:2023年3月1日(水)8:30~、19日(日)0:00~

蒲田行進曲(日本語字幕放送)
放送日時:2023年3月12日(日)8:15~

「蒲田行進曲」放送記念特番 小夏×銀ちゃん×ヤスの同窓会
放送日時:2023年3月23日(木)12:30~、30日(木)20:00~
チャンネル:衛星劇場

※放送スケジュールは変更になる場合があります

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